デザイン料金の計算方法は結構複雑です。デザイナー自身、もしくはデザイナーにお仕事を依頼した人でなければ想像がつきにくいものかと思われます。テレビやドラマのイメージでは高級なイメージかもしれませんが、数千万円〜億を稼ぐデザイナーは一部の売れっ子デザイナーさんたちだけ。一般的なデザイン料金というものはそこまで高いものではありません。
では、デザイン料金に目安や相場というものはあるのでしょうか。調べたところ、現在のデザイン業界での平均値を一覧にした料金表を見つけたので、ここで共有させていただきたいと思います。依頼する側も受ける側も、知っておいて損はない情報です。
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デザイン料金表(内訳)が公開されている
@anmain2525さんという方が作った「一般的(?)なデザイン料金表」というものをお借りします。この内訳はとてもよくできていると思うので、こちらをベースに考えてもいいのではないでしょうか。
有名デザイナーと無名デザイナーの間では結構差が開くので、これが正解というガイドラインがなくピンキリです。なので、こちらの料金表は普通にデザインの実務経験があるデザイナーへ依頼をした場合の平均値と考えればいいと思います。正直、この表より低価格のデザイン料金は破格、いや、デザインのベースラインを下げる行為なので、あまりよろしくないかと思います。
下はアシスタントやビギナーの価格、上はそこそこキャリアのある価格でしょうか。私の場合はキャリア10年を超えましたので、真ん中から上を目安に計算をしています。
そして今回は、一般的にはよく理解されていないデザイン料金の内訳について考察してみたいと思います。
デザインを依頼するときの相場について
私はデザインを依頼される側の立場ですが、報酬の決め方は2パターンあります。一つは作業量などをきちんと計算してから概算を出す場合、もう一つは依頼側に予算を告げられ、その金額に合わせる場合です。
依頼側がデザイン料金について詳しくない場合(予想ができない場合)は、まずはデザイナーに予算を告げて相談した方が安心かもしれません。その場でざっくり「出来る、出来ない」の判断と、どこまで出来るのかなど、色んな意見が出てくると思います。
予算を前提に話を進めるので、驚きの高額になることはまずないと思いますが、その分作業量や時間、材料などに制限がかかるので、金額相応のものになるとは思います。あまりに安く請け負いすぎると、後々の信頼関係にひびが入ることもあるかもしれません。
また、低価格で高クオリティを求めると、必ずブラック化してしまいます。やはりいいものを作って、それに見合った報酬を受け取りたいのが本音。最初の料金設定で泣いてしまい、その後もいいように使われるのは避けたいところですね。
デザイナーが言い値で受ける場合は後々のことを考えて、この人は信用できるのか、あとの仕事に繋がるのかなど、対等な立場で話が出来るようきっちり判断した方がいいです。いいお客様なら後で必ずお仕事をいただけますので、信頼貯金をするかどうかはしっかり考えたいですね。
デザイン料金の決め方【クリエイティブ費+人件費+制作費】
デザイン料金のベースはなんといっても人件費(時給)です。人件費の計算方法は、会社員時代のお給料を目安に換算するとわかりやすいです。フリーランスになる前には必ずどこかのインハウスデザイナーとして働いているはずなので、そこの時給を割り出してからスタートしてもいいと思います。
普通に上手に作れるデザイナーなら、2500円〜をベースに考えてもいいと思います。必ず自分の最低賃金だけは確保するようにしないと、生活ができなくなります。デザイナーにとっては知識と経験が財産なので、デザインの技術を手に入れるためにどれだけの年数がかかり、どれだけの自己投資をしたか考えてみれば、それなりの金額が計算できるはず。
デザインの価値、価格は自分の創造価値で決まる
技術と値段は必ず比例するわけではなさそうです。制作費はクリエイターによって様々なので、お互い納得のいく交渉が必要かと思います。値段を安くしすぎると、モチベーションの低下からクオリティの低下を招くので、あまりよくはない。
結局は営業力や自己アピール、交渉が得意な方は順調に続けることができると思います。
最近はフリーランス競争時代になってきているので、値段というよりも、作品や人間性のウマが合う相手を選んだ方がお互い後々の満足につながるかもしれません。仕事をする上では納得のいくパートナーシップが重要かと思います。
デザインにかかる費用【デザインの諸経費】
事務所の家賃、光熱費、工具類、ソフト、印刷、サーバー、管理費、素材費、外注費など、デザインを作るには色々と経費がかかります。また、出張などの交通費、試作などの経費も入ります。まとめて制作費として換算します。
+α(知的財産と付加価値)
知的財産と付加価値という見えにくい価値が大きなウェイトを占めるのがクリエイティブ特有のポイント。わかりやすく解説するために、例としてロゴデザインの場合で考えてみましょう。
ロゴというのは会社のシンボルであり、企業理念です。ずっと長く使うものでもあり、会社の顔ともなります。さらに、名刺、封筒、看板、WEBサイト、パッケージなど、色んな場面で使用されることが予想されます。ロゴが普通のデザインより高めに設定されるのは、いろんな場所で使用するという「二次使用料」が加わっているからなんですね。
海外ではロイヤリティで二次使用料を支払う方法がスタンダートらしいです。サブスク的な考えですね。日本では著作権を先に買い取る方法が多いらしいですが、自社で制作したりする背景もあるのかもしれません。外注を減らして、自社でできることはする、的な。
ちなみにロイヤリティの金額目安は、制作料金の10%くらいからを基準にしているみたいです。著作権のあるものは使用するごとに使用料を支払う必要があるみたいです。(販売におけるマージンのようなもの)
その他、有名デザイナーを起用して名前を使う場合にも付加価値がつきます。「〇〇がデザインした商品」と記載する場合には広告宣伝費としての付加価値が加わるので、名前を使って商品を売るという意味では必要経費となり得るみたいです。
著作権については下記に記載しています。
キャラクターなどの使用料(ロイヤリティ)は3〜5%
キャラクターもロゴと同じように創作物なので、著作者にロイヤリティを支払う義務があるようです。著作者との契約内容にもよりますが、おおよそ商品上代(販売価格)の3%〜5%が平均値?のようです。つまり、商品総売上の数%です。キャラクターのグッズ化は、売れれば万々歳ですね。
もし将来的に販路拡大を狙うなら、模造品が出回らないように商標登録(意匠登録)をしておくことも念頭に入れておいた方がいいかもしれません。
著作権とデザイン【よくあるトラブル】
デザインの世界では、この著作権関連のトラブルが非常に多いです。承諾なしにデザインをいろんな場所で流用する、勝手に他のデザイナーへ回す、コピーする、など。思わず著作権を侵害しているケースは多々あると思います。
トラブル回避のためには、納品されたデザインデータは依頼した用途のみ(フライヤーAならフライヤーAのみ)に使用すること。また、なるべく現物納品でもらうこと。データを他の用途で二次使用すると著作権侵害で問題になるケースがあります。
最初に承諾を得ていたり、契約書を作っていればOKですが、著作権の譲渡契約や使用契約を交わしていない場合は、自由に使用していいわけではないのでお気をつけて。基本的に著作権は製作者に既存します。
著作権の年数やしくみなど、詳しい情報はデザインの著作権と譲渡、二次使用と金額についてで解説しています。
デザインの価格設定は複雑
こちらで紹介したデザイン料金表や著作権問題などは、依頼側も受ける側も、知っておいて損はない情報です。知らないと、思わぬところで安請け合いしてしまい、正当な報酬を受けられないこともあるので、自分の作品は自分で守るようにしましょう。一緒に頑張っているデザイナー達の平均価格を引き下げることになりかねませんので、仲間のためにも企業のためにも、いいものを作るだけの相応の報酬をいただき、自分の価値を再認識しましょう。