グラフィックデザイナーとして働いていたので現在もグラフィックデザイナーと名乗っている私ですが、最近「DTPデザイナーですか?」と聞かれることが増えました。いいえ、多分違います。DTPもしますけど、手書きでデザインもしますし、InDesignも使えないので。
ということで、ここで違いを明確にするべく、メモとして残しておきたいと思います。
目次
そもそもDTPデザインって?
DTPとはDeskTop Publishingの略。直訳すると「卓上出版」らしいです。簡単に言うとPCというツールを使ってデザインを作り、印刷入稿用のデータを作り、仕上げるところまでを指すようです。
じゃあグラフィックとどう違うのか。将来の職業選択として、打ち合わせの際に誤解が生まれないよう、色んな人に説明できるよう、この機会に共有したいです。
DTPデザイナーはいつから出来た?
私がパッケージ&プロダクトデザイナーからグラフィックデザイナーに転身したのは2009年のこと。その頃、求人情報誌やデザイン会社の募集要項にDTPデザイナーという職種はなく、グラフィックデザイナーとDTPオペレーターという職業に分かれていました。DTPオペレーターは印刷会社の職種というのが一般的で、デザイン会社ではあまり聞きなれない職業でした。
DTPオペレーターとは、デザイナーが作ったものを印刷用のデータにトレースして置き換える人のことなので、デザインはしないというのが基本です。デザイナーがデザインを作り、アウトラインデータを印刷屋さんに持っていき、それをDTPオペレーターが印刷用のデータに変換し、印刷するというのが一連の流れだと思います。
平面のデザインをしたいなら「グラフィックデザイン」というのが一般的だったので、おそらくここ10年くらいで広まった職種が「DTPデザイナー」だと思います。
オペレーターではないDTPデザイナーの仕事内容
DTPデザイナーとDTPオペレーターの違いは、デザイン(意匠、設計、創意工夫)ができるかどうかだと思いますが、現在はどちらも兼ねてる場合も多いらしく、明確な線引きはないように思います。パソコンを使って印刷物のデザインをすること全般を指すようです。
DTPデザイナーとグラフィックデザイナーの違い
PCができる前に手書きでデザインしていたのがグラフィックデザイナーですが、時代と共にコンピューターが普及するようになり、コンピューターを使って印刷用の製版をするDTPオペレーターが登場します。やがてグラフィックデザイナーもIllustratorやPhotoshopを使ってデザインを作るようになり、2001年には日本版InDesignがリリース。
その後、格安オンデマンド印刷の誕生により、印刷会社がデザイナーを雇うようになったあたりで、デザインと印刷をまとめて請け負うようになったことがDTPデザイナー誕生の流れっぽいです。そして、今ではイラレデータだけではなく、PDFやofficeソフトでの入稿が可能な時代になりました。
DTPデザイナーはInDesignをメインソフトとして使用し、印刷物のレイアウトや出版系に強いというイメージでしたが、今はIllustratorをガンガン使う人もいるでしょうし、グラフィックデザインとDTPデザインの明確な線引きがなくなりつつあります。
とは言っても、DTPデザイナーにロゴを依頼するというのはあまり聞かないので、クリエイティブワークに関してはグラフィックデザイナーが強いと思います。印刷物に限定せず、平面上で幅広くデザインをしたいならグラフィックデザイナーを選べばいいです。
平面デザイナーの境界線がなくなってきている
今の教育現場がDTPデザインをどう捉えているかは分かりませんが、現場に出ればどちらも同じようなデザインを担当していることは多いと思います。DTPデザイナーとしてロゴを受注することもあるかもしれませんし、グラフィックデザイナーとして印刷物のレイアウトを受注することもあると思います。
でも、私は基本的にDTP=出版系、グラフィック=デザイン系と認識しています。現段階で需要が多いのはDTPデザイナーだと思います。学校の数も求人の数も多い。でも、だからといってDTPデザイナーを目指すのがいいのかどうか。これからITが進化すれば、DTPデザイナーは要らなくなる恐れがあります。創作性が認められないデザインに関しては知的財産となるものがないので、AIでも代用は効くし、デザインを安価で消費されていくことにもなりかねない?どーなるデザイン業界。