Adobe Creative Cloud(クリエイティブクラウド)の価格が高騰中です。私のような職業デザイナーには必需品ともいえるAdobe CCですが、正直、これからデザイナーやクリエイターを目指す方には高額ですし、難易度も高め。
ということで、初心者の方やライトユーザーに向けて、Illustrator(イラストレーター)やPhotoshop(フォトショップ)のように使える代替え版ソフト(オンラインツール/アプリ)を紹介したいと思います。
私が実際に使用した結果を踏まえて、詳しく昨日解説や比較などを書いていきますね。どのソフトがいいのか迷ってる方は、ぜひ参考にしてみてください。
前半でIllustrator系ソフト、後半(次ページ)でPhotoshop系ソフトの紹介です。
目次
Illustrator(イラストレーター)は無料ダウンロードできない?
まず最初に、Illustratorの無料版を探してる方に伝えておきます。
正規のIllustratorを無料でダウンロードできる方法はありません。
15年以上イラレを使ってきた私は断言できます。益々価格が上昇している高級ソフトを無料で提供するメリットなんてありません。体験版と違法ダウンロード以外、Illustratorを無料で手に入れる方法はないです。
IllustratorCS2が無料でダウンロードできるという情報も流れていますが、過去にCS2を正規購入し、シリアルナンバーを持っている人にしかダウンロードページは公開されていません。今となっては化石化したIllustratorCS2よりも、ここで紹介しているフリーソフトの方が高機能だと思います。
Illustrator(イラストレーター)の価格【実際どのくらい高い?プランの比較】
Adobe製品が全て使えるコンプリートプランは、月額5,680円(年間68,160円)です。キャンペーンで最安値を狙えば3,980円(月額)。
そして、Illustratorだけの単体プランもありますが、月額2,480円と結構割高。支払い時期によって価格も変動します。
- 1年契約【一括前払い】月々2,180円(途中解約→返金なし)
- 1年契約【月々払い】月々2,480円(途中解約→残日数の50%支払い)
- 1ヶ月契約【月々払い】月々3,480円(途中解約OK、解約金なし)
月単位で使いたい場合は月額3,480円(高!)。しかも単体プランではAdobeフォントやクラウドストレージも使えません。
今のところ、たのまなのAdobeCCプランが最安値かと思われます。
Illustrator(AdobeCC)を格安で手に入れるなら「たのまな」がおすすめ!
安くAdobeCCを契約するなら、ヒューマンアカデミーが提供している「たのまな」の「オンライン教材付きAdobeCCプラン(1年契約版)」がおすすめ!キャンペーン時期を狙えば49.6%OFFの月額3,331円(税込)です。Adobeのキャンペーンでもここまでの割引はいまのところないです。(詳細は下記事にて)
ちなみにAdobeCCでは解約後2ヶ月無料キャンペーンがあり、AdobeCCを使いながら次のキャンペーンを待つことができます。
でも、やっぱりライトユーザーには高いお値段ですよ。
では本題です。Illustratorの無料版ソフトの紹介に入ります!
Illustrator(イラストレーター)の無料版ソフトは「Gravit Designer」と「Inkscape」の2択だ!【2020比較】
Illustratorみたいなドローイングソフトといえば、昔はInkscape一択でした。ただ、Macでは動作が不安定だったり、Illustratorと違うUIだったり、あまり使いやすいソフトとは言い難い。
他にネットで紹介されているグラフィック系フリーソフトを片っ端から使ってみた結果、ようやく見つけました!Illustratorの代わりに使えそうな無料ソフト「Gravit Designer(グラビットデザイナー)」です!
もしInkscapeしか知らなかった方は、ぜひGravit Designerも使ってみてください。理由はこれから詳しく説明します。
Gravit DesignerとInkscapeの違い「UIデザインと機能」
「Gravit Designer」と「Inkscape」、2つの大きな違いは「UI(ユーザーインターフェース)」です。
UI(ユーザーインターフェース)とは?
使いやすく、利便性を考えた画面設計。アイコンの種類、場所、操作性やデザインなど、ユーザーが使いやすいように動線を考えながら設計されている。
Illustratorとは全く違うUIのInkscapeは、イラレに慣れている私にとってはかなりのストレスを感じます。例えばアイコンの位置、デザイン、ショートカットキー、ルール。これらが全く違うと、ソフト間の移行もむずかしい。
その点、「Gravit Designer」のUIは、かなりIllustratorに近く、イラレユーザーでも難なく使うことができます。
わかりやすいように2つの操作画面を見比べてみましょう。
まずはツールバーの構造から。Gravit DesignerはIllustratorと同じで、側のパレットで操作できるようになっています。ツールバーの種類の多さを見るとInkscapeの方が多機能に見えますが、実際はそうでもありません。ブラシやスプレーツールの有無くらいで、その他の機能はほぼ同等。
そして、Gravit Designerでは、Illustratorで使えるショートカットキーがほぼ同じように使えるのも見逃せないポイント。
【補足】Inkscapeは重い?Macでのタイムラグについて
InkscapeをMacで使うと、作業が出来ないレベルのタイムラグが発生しました。同じ環境下で使ったIllustratorやGravit Designerは大丈夫だったので、原因はおそらくメモリか互換性。(Windowsでは問題ないのかも?)
Illustratorを目指したGravit Designer【使い方や機能がほぼイラストレーター】
Gravit Designerの公式ブログでは、打倒Illustratorともとれるコンセプトが掲載されています。
イラスト、UIデザイン、印刷デザイン、さらにはWeb開発などのビジュアル分野で作業している場合、ある時点でAdobe Illustratorを使用しているか、既に使用していることはほぼ確実です。ただし、月額料金と広範な学習曲線は非常に気が遠くなることがあります。
Gravit DesignerがAdobe Illustratorの優れた代替品である理由
代替として誰がやって来ると思いますか?もちろん、Gravit Designerです。
Gravit DesignerとAdobe Illustratorはどちらもフル機能のベクターデザインアプリです。
実際に使ってみると、まさにその通り。特にUI面では、Illustratorを使うデザイナーの行動をよく理解して作られています。
アイコンのデザインや名称、頻繁に使うショートカットキーの類似、普段からイラレを使っている私でもストレスなく作業できます。
レイヤー機能、マスク機能、パスツール、カラーパレット、グラデーション、パスのアウトライン化など、機能面も酷似。Illustratorの使い方を知っていればほぼ応用が効くでしょう。
さらに、Gravit Designerはクラウド対応。オンラインストレージも無料で使え、場所やデバイスを選びません。ここもクリエイティブクラウドに近い。WebデザイナーならGravit Designerで十分対応出来るかもしれませんね。
Gravit Designerの使い方について
Gravit Designerは日本語対応です。最初にアカウント登録を済ませると、オンライン版とダウンロード版が使えるようになります。最初の15日間はPRO版が使え、試用期間が過ぎると勝手に無料版へ移行します。
実際にGravit Designerを使ってデザインを作ってみた様子を、Gravit Designerの使い方(デザイン作りながら機能解説)編で実況してみました。Gravit Designerについての詳細はこちらでご確認を。
記事中でも紹介していますが、公式サイトのブログでは投影法を使ったアイソメ図の作り方、名刺デザインの作り方、ネオンサインの作り方など、色々なチュートリアルも公開されています。最近ではデザインテンプレートも追加されました。
アップデートも頻繁なので、今後の追加機能なども楽しみです。
Gravit Designerの機能面をチェック!【保存形式、出力解像度、カラーモード】
Illustratorのデータ(.ai)は問題なく編集できます。オンライン版ではWebフォント、ダウンロード版ではPCに入っているフォントが使え、文字のアウトライン化も「パスに変換」で可能。レイヤー操作も簡単。
保存形式はエクスポートでPDF、SVG、PNG、JPEGに対応。通常の保存形式は「.gvdesign」ですが、入稿データとして保存したい場合は「PDF」を選べばOK。
ちなみにエクスポートしたPDFデータはIllustratorで開いて編集することもできました。互換性は良好。
出力解像度は、無料版で150dpi、PRO版は300dpiに対応しています。印刷のルール上、高解像な画像を印刷するには350dpiの解像度が必要とされていますが、150dpiの画像でも、縮小すれば350dpiの威力を出すことは可能です。(詳しい解像度の話はこちらで解説中)
実際に300dpi(サイズ:5000px)の画像をA4サイズに縮小して、150dpiでPDFエクスポートした結果がこちらです。
ズームで拡大しても全く問題なし。元々の画像の解像度と画素数(サイズ)が大きければ、出力が150dpiでも350dpiレベルの鮮明さを守ることは出来ます。
カラーモードはRGBのみ対応。印刷用のデータとして使うには、RGBデータをCMYKデータに変換するオンラインツール「PDF to CMYK」を使えば解決します(PDFファイルをアップロードするだけでCMYKに変換される)。
注意点として、データ内の画像が300dpiまで落ちるようですが、さほど問題ではないです。(一応仕上がりチェックしてね)
一部のオンデマンド印刷ではPDF入稿の際、CMYKに変換してくれるサービスもあるみたいです。
補足:RGBデータとCMYKデータの違い【印刷するとこんな色】
RGBは光の3原色で作られた液晶モニター用のデータ(3色を混ぜると白になる加法)で、CMYKは色の3原色で作られた印刷用のデータ(3色を混ぜると黒になる減法)です。
RGBデータは蛍光色のように鮮やかな色ですが、CMYKデータに変換すると黒く沈みます。
RGBで出力したカラー
CMYKで出力したカラー
彩度が低い色なら変化は少ないですが、原色(ビビッドカラー)では変化が大きいので注意。彩度が高いほど変化が強くなるのが特徴です。
印刷でRGBカラーのように鮮やかな色を作りたい場合には「特色(スポットカラー)」を使った印刷がおすすめです。(特色について(DICやPANTONEでの色指定))
【豆知識】保存形式「EPS(.eps)」って何?
Inkscapeの保存形式「EPS」は、印刷用の入稿データとして使えるデータ形式です。昔は印刷業者がEPS形式での入稿を推奨していましたが、2000年以降はAi形式が一般的になりました。(Illustratorのバージョン違いによる互換性トラブルを防ぐため)
オンデマンド印刷が主流になりつつある今、「EPS」や「AI」だけでなく「PDF」形式での入稿が増えてきました。開発元のAdobeが、最近EPSを推奨しないようになっているという噂も聞くので、今後はEPSにこだわる必要もなさそうです。PDFの性能が上がり、入稿でのトラブルが少ないという利点から、今では多くの印刷媒体がPDF入稿を推奨しています。(PDFの方が綺麗に印刷されるという噂も…?)
もし、イラスト制作をメインで使いたいなら「Tayasui Sketches」もお勧めです。Adobe Frescoのように感覚的に絵を描くことができます。
イラスト制作なら「Tayasui Sketches」もおすすめ【手書きの無料アプリ】
この「Tayasui Sketches」は、Adobeの新しいデジタルペインティングアプリ「Fresco」のようなフリーソフトです。いわゆる手書きのイラスト制作に特化したアプリです。
最近のトレンドである水彩画風の絵や、マジックで描いたようなラフなイラストも簡単に作れます。
PC版とタブレット&スマホ版があり、PSD形式(Photoshop)での保存にも対応してます。
個人的にはGravit Designer(デザイン) + Tayasui Sketches(イラスト)の両使いが最強かも?って思ってます。Tayasui Sketchesの使用レビューはこちら。
デザインを自作する自信がなければ、デザインテンプレートが豊富に使える「Fotor」もおすすめ!
デザインテンプレートが豊富な「Fotor」【簡単デザイン/画像編集&コラージュ】
IllustratorとPhotoshopのMix型で、超簡単にデザインを作るための無料アプリが「Fotor」です。複雑なイラストや画像加工は作れないけど、レイアウトやコラージュなど、ある程度のデザインは可能。
デフォルトで揃ってる豊富なデザインテンプレートを使えば、テキストやオブジェクト、画像を差し替えるだけで、簡単にデザインが作れてしまいます。
画像編集では、インスタグラムのように効果やフィルターを使った一発補正、簡易なトリミング、詳細な色調整機能も使えます。
画像がメインの簡単なフライヤーやポスターなら、Fotorだけで十分作れるかも。センスいらず、デザイナーいらず?詳しい内容は下記のレビュー記事で見てみてくださいね。
シンプルで超簡単!カフェメニューやフライヤー制作に便利な「Canva」
Fotorと同じく、豊富なテンプレートから簡単にデザインが作れてしまう「Canva」。これは説明するよりも、実際に使ってみた方が早いかも。
スマホアプリの感覚で、ポイポイっと素材を放り込めばフライヤーやポスター、プレゼン資料などが出来てしまいます。フリー素材(写真)サイトとも連携してるので、わざわざ素材を探しに行く手間も省けます。
画像のようなメニュー表も2分で完成!使い方はチュートリアル付きで超簡単!解像度は300dpiに対応なので、印刷にも十分対応できますね。
テンプレートもこれだけ揃ってます!
【備考】Illustrator2021の進化。
Illustratorもついに2021へ。配色パターンをボタン一つで変えたり、iPadで使えたり、オンラインでドキュメントを共有できたり、今となってはAdobeソフトを使えば誰でもクリエイターになれる時代へ。先日オンエアされた「Adobe MAX」では未来のAdobeソフトの機能が紹介されていました。特に3D分野ではすごい進化が期待できそうです。
では、次のページでPhotoshopの代替え版ソフトを紹介します!