バーコード(JANコード)の作成方法【事業登録から使用方法、印刷まで】

2019-03-27
デザイン制作

輸入販売のお仕事を手伝っている中で、バーコードの作成が必要になりました。海外から商品を輸入して量販店で販売するにはバーコードの表示が必須。他にも自社で作った製品を初めて量販店に卸す際にも必要になってきます。

ということで、今回は「新規でバーコードを作る方法」について、調べたことをまとめました。

バーコードの種類について【JANコード(EANコード) & ITFコード】

量販店ではPOSシステム(POSレジ)を使って商品を管理しているので、商品登録や管理用でバーコードの表示はほぼ義務です。私たち消費者が量販店で見かけるバーコードはほとんど「JANコード(別名EANコード)」と呼ばれるバーコードです。JANコードの他に、工業用の「ITFコード」「CODE39」「CODE128」、書籍用の「ISBNコード」など、100種類以上のバーコードが存在しているみたいです。

日本や海外で使える主なバーコードは「JANコード(商品用コード)」と「ITFコード(物流用コード)」の2種類です。海外ではヨーロッパ規格の「EANコード」というバーコードが使用されていますが、これはJANコードと同じもの。結果、JANコードを取得しておけばおおよそどこの流通でも使用可能ということです。

JANコードとITFコードの違い(商品用と物流用)

JANコードは主に商品一つに対して設定する商品用のバーコード、ITFコードとは主に集合包装(ダンボールや梱包箱)に対して設定するバーコードです。

JANコードについて(商品用コード)

日本国内では一般的に使われているJIS規格の流通(商品)コードをJANコードと呼び、世界共通のEANコードとも互換性があります。表示タイプは標準タイプ(コード13桁)短縮タイプ(コード8桁)の2種類がありますが、海外でも使用できるバーコードは13桁の標準タイプのみです。国内販売限定なら8桁の短縮タイプが使用できます(バーコードを表示する面積が狭い場合など)。ちなみに13桁のJANコードを取得してからでないと8桁の短縮タイプは使用できないとのことなので、結局13桁のJANコードが必須ということになります。

また、北米(アメリカ・カナダ)の一部地域ではJANコードが使えない(機械に互換性がない)ところもあるらしく、そこではUPCコードという北米規格のバーコードが主に使用されているようです。

補足:UPCコードとは

北米(アメリカ・カナダ)で使われている12桁の商品コード。バーコードの中ではUPCコードが一番歴史が古く、JAN(EAN)コードの元になっているらしい。カナダなどの北米の一部地域ではEANコード(JANコード)の互換性がなく、UPCコードのみ対応という場所もあったようですが、2005年以降はPOSレジが13桁に対応したため、改善されているとの噂。(ただし企業によって違うので要確認)

ITFコードについて(物流用コード)

主に卸売で必要な流通用バーコード。パレット、ケース、カートンという単位で販売する時に必要です。同じJANコードの商品が入ったケースでの販売や管理に使用します。数字は13桁のJANコードがベースになっており、先頭に1〜8の管理番号をつけた14桁のコードになります。バーコードの形は横に細長く、周りに黒の太いライン(ベアラバー)で囲まれているのが特徴です。

例:
・タバコ1箱…JANコード
・タバコ1カートン…ITFコード

カートン売りの場合なら:
・タバコ1箱…JANコード
・タバコ1カートン…JANコード
・タバコ1パレット…ITFコード

バーコード(JANコード)取得の流れと作成手順

バーコードの作成には、まずJANコードの元になる13桁コードを取得することから始めます。13桁のうち、最初の9桁の数字は「事業者コード」と呼ばれるものです。事業者コードの取得場所は「一般社団法人 流通システム開発センター」で可能。(公式サイトの動画では取得までの流れがチェックできます)

1. 事業者登録をする

事業者コードの取得はGS1事業者コードの新規登録手続きから出来ます。全国の商工会議所or商工会で無料配布している「はじめてのバーコードガイド‐新規登録用‐(登録申請書付)」からも登録申請ができるみたいです。

JANコードは有料(GS1事業者コード登録申請料)

JANコードの取得と管理は有料です。GS1事業者コード登録申請料というものが3年ごとにかかります。料金は年商によって変動するみたいなので、詳細は料金欄で確認するか、直接問い合わせてみましょう。

仲介業者や代理店はバーコードを登録できない?

JANコードの取得は基本的にメーカー側が行います。メーカー側がバーコードを持っていない場合は、取得を依頼しましょう。仲介業者や販売代理店がバーコードを取得する場合は問い合わせをおすすめします。(状況によっては代理店でも登録は可能らしい)

2. 商品アイテムコードを決める

9桁の事業者コードを手に入れたら、次に続く3桁の商品アイテムコードを決めます。これは自由に決めていい数字です。通常は001から999までの数字で順番に登録していくみたいです。

これで12桁の商品コードが決定です。

3. チェックデジットを算出する

最後の1桁はチェックデジットというエラーチェック用の数字です。この数字はチェックデジットの自動計算入力フォームから計算できます。入力フォームに12桁の数字を入れ、計算ボタンを押すだけで取得が出来ます。

以上で13桁のJANコード(数字)が手に入りましたが、数字だけではスキャンできないので印刷表示用のバーコード「JANシンボル」を作成します。

JANコードを印刷用データに変換(JANシンボルの作成)

商品パッケージに印刷されているバーコードは「JANシンボル」といいます。JANシンボルバーコードどころというサイトで無料で作成できます。こちらに13桁のJANコードを入力すれば、印刷用のバーコードデータをダウンロードできるようになります。

手順は以下の通り。

  1. トップページから「JANコード(標準/短縮)」を選択。
  2. フォーム枠内に13桁のJANコードを貼り付け、「バーコードを作成する」ボタンを押す。
  3. PNG(画像)データとEPS(ベクター)データを取得。

こちらのサイトではチェックデジットまで自動計算してくれます。また、8個までのバーコードを同時に作成できるので、商品数が多い場合はまとめて作ることができます。

JANコードを印刷する(表示方法とマーキングマニュアル)

ダウンロードしたJANシンボルを印刷するとき、気をつけるべきルール(マーキングマニュアル)をまとめてみました。

1. JANコードのサイズ(トランケーション)

JANコードの同率縮小は80%まで、同率拡大は200%まで可能です。基本のサイズ(100%)は横3.7cm×縦2.6cmですので、これをベースに計算します。

黒いバーの高さだけを削る方法(トランケーション)もできますが、海外向けの商品では読み取れないことがあるらしいので注意。トランケーションは国内流通でのみ使える方法。基本のサイズ(100%)でトランケーションをする場合、数字を含まない黒いバーだけで高さ11mm以上が推奨です。

2. JANコードに必要な余白(クワイエットゾーン)

JANコードは白と黒のストライプが基本。JANコードの周りに多めの余白をあけ、コードの始まりと終わりをはっきりと示すことが大事です。左右の余白については規定があり、左側は黒いバーから3.63mm、右側は黒いバーから2.31mmの余白が必須(100%サイズでの計算)。上下の余白に対しての規定は特にありませんでした。

3. JANコードの色と背景

JANコードの色は白黒が推奨ですが、明暗がはっきりとわかるコントラストをつければ何色でもOK。ただし、スキャナーは赤色なので、赤系の色は読み取り不可でNGです。ついでに反転表示(黒地に白いJANコード)も基本的にはNG。

また、濃色の色紙や、スキャナーの光を反射する金銀ホログラムや偏光パール系の素材、透明フィルム素材などに印刷する場合は、白の下地印刷が必要になることも。インクジェット印刷やシルク印刷を使って白地を引くため、必然的にコストは上がります。

和紙や凹凸のある加工紙に印刷する場合は、あらかじめ大きく作っておくことで印刷によるかすれや歪みを回避できます。

4. JANコードの表示場所

平面でまっすぐな場所であればどこでもOK。JANコードの方向は縦でも横でも可。ペットボトルなど円柱形や曲面に印刷をする場合は、JANコードの直径の湾曲が60度を超えないようにしないと読み取れないようです。球体の場合はシュリンクフィルムに印刷するか、外にタグなどを付けることで解決できます。フィルム包装(スナック菓子など)は、なるべくシワのよらない場所に印刷することをおすすめします。

まとめ:バーコードの取得は有料登録が必要、印刷用のJANシンボルは無料で作成可能

バーコードの作り方を知らなかった私としては、今回のお仕事を通じてとてもいい勉強になりました。今後、オリジナル商品を展開しようと思ってらっしゃる方にはちょうどいいマニュアル記事ができたと思います。流通にバーコードが必要となったときにはご活用くださいませ。

おまけ:バーコードのフォント

フリーフォントのサイト大手「dafont(ダフォント)」では、バーコードのフォントがたくさんダウンロードできます。色んな種類のバーコードが使えるので面白いですよ。

バーコードのフォントはこちら: daft > Dingbats > Bar Code