「Webで検索すれば木が増える」というコンセプトを掲げ、2009年より始動しているドイツ・ベルリンの検索エンジン会社「ECOSIA(エコシア)」。
誰もが日常的に行う「インターネットブラウザでの検索」で、環境保護活動を支援できるというシステムを生み出した、サスティナブルなECOSIAのお仕事を紹介したいと思います。
目次
植林活動ボランティアよりもECOSIA(エコジア)で検索しよう
地球温暖化の原因となっている「森林の減少」。豊富な自然によって分解されるはずの二酸化炭素が地球から逃げられなくなり、記録的な暑い夏が更新され続けています。日本の避暑地である北海道でも気温35度越えを記録し、ゲリラ豪雨や猛烈な台風などの異常気象も立て続けに起きています。
地球上の森林が減ることで、様々な環境への被害が出ています。
では、私たちにできる温暖化対策は一体何なのか。ゴミの分別、クールビズ、植林ボランティア、色々あると思いますが、もっと手軽で日常的に継続して行えるものとして「ECOSIAブラウザでの検索」が一番手取り早いんじゃないかと思います。
ECOSIA(エコジア)とは?
ECOSIA(エコジア/エコシア)とは、GoogleやYahooと同じWeb検索エンジンの会社です。検索エンジンといえば、基本は広告収入によって利益を得ていると思うのですが、ECOSIAはその収益のうちの80%を環境保護活動に寄付しています。つまり、私たちがECOSIAの検索エンジンを使えば使うほど、地球に還元されるという仕組みです。
「企業や投資家に還元するのと同じく、地球に還元したい」という理念のもと運営しているECOSIAは、2009年よりスタートした比較的新しい企業です。まだGoogleやYahooに比べれば国内での認知度は低いはず。もっと広まって欲しいと思います。
Web検索で森林を取り戻す「植樹プログラム」
ECOSIAが行っている環境保護活動というのは「植樹プログラム」がメインです。ECOSIAは世界中の植樹プログラムを支援しており、世界で最も環境破壊が進んでいるブルキナファソ、タンザニア、マダガスカルなどの地域に、何百万本もの木々を植えた事を公式サイトで報告しています。
検索45回で1本の木を植えることができる
ECOSIAで検索をすれば、およそ45回に1本のペースで木を植えることができます。毎日の検索数を考えると、一人1日1本は木を植えることができるでしょう。利用者の数が増えればもっとたくさんの木を植えることができるはずです。
現在の人口は約75億人、ゆくゆくは100億人まで増えると言われているので、環境問題はさらに深刻になってくるでしょう。人が一人増えることで発生する環境破壊は恐ろしく、また森林伐採によって起こる問題は、貧困、飢饉、政治的および経済的不安定、干ばつ、汚染、生物の大量絶滅にまで影響を及ぼすなど深刻です。
ECOSIA(エコジア)の使い方
ECOSIAの使い方は簡単です。アプリをインストールするか、SafariやChromeなどのブラウザに拡張機能として入れるかの2択です。私はSafariに導入し、ブラウザをECOSIAに変更しています。これが私のECOSIAの検索画面です。
ECOSIAでは、検索数を木のアイコンで表しています(画面右側)。これは「植樹カウンター」と呼ばれ、45になったら1本の木を植えられます。目に見える形で植樹プログラムへ参加できるのはとてもいいですね。
検索結果はGoogleとは少し違いますが、特に不自由もなく使えています。
ECOSIA(エコジア)のインストール方法(Chromeへの追加方法)
- まず、公式サイト「https://www.ecosia.org」 へアクセスします。
- トップページにいくと「木を植えましょう!」というポップアップが出ています。そこの「EcosiaをChromeに追加」ボタンを押すと、chromeウェブストアへ飛びます。
- 拡張機能のEcosiaをダウンロードする画面が現れますので、Chromeに追加ボタンで追加します。
- 拡張機能を追加ボタンを押すと、「Congrats, Ecosia is your new search engine!」という画面が現れ、Ecosiaが無事追加されたことを教えてくれます。
Safariでも同様、拡張機能への追加手順でメインブラウザにできます。
ECOSIA(エコジア)での検索で個人情報の流出を防ぐ(独自検索システム)
ECOSIAをおすすめするもう一つの理由は、個人情報の流出を防ぐ独自検索のシステムです。毎日何かしらの検索をしている私たちは、検索エンジン側に情報を吸い取られていってると言っても過言ではありません。自分が何に興味を持ち、何をしたいのかということがブラウザを通して筒抜け状態になってしまっているからです。
ECOSIAでは、こういった個人情報の流出問題に異議を唱え、新しい検索のシステムを開発。検索者のIPアドレスを4日間だけ保存し、あとは全てのIPアドレスをxに置き換えて匿名化してしまうことで、誰が検索したのかをわからなくする仕組みを作っています(結構画期的)。IPアドレスを特定できなくすることで、個人情報の流出を防ぐことができます。(IPアドレスとは?)
意外にも、この匿名検索のサービスこそ利用者にとって大きな価値があり、プライバシーを重要視する海外ではECOSIAに乗り換える人が大幅に増えているらしいです。利用者にも企業にも相互利益になるというのは素晴らしいモデルです。
【驚愕】個人情報の価値は日本円にして約125兆円(年間)
新しく便利なIoT(Internet of Things)を利用する代わりに、私たちは行動や思想という個人情報を売っています。特に無料サービスを利用する場合、その向こう側にはどんなメリットがあるのかを考えてから行動することが大事かもしれません。
EUでは、2018年から「GDPR(一般データ保護規則)」という規制が始まり、個人情報の取り扱いに対して警告を強めました。IPアドレスやCookieも個人情報とみなし、その個人情報を取得する際には本人の了承が必須であるという取り決めらしいです。
個人情報がビッグマネーを動かすというのは皆さんご存知かと思われますが、あまりピンとこないですよね。実際に研究者が調べた報告によると、EUの人口5億人分のデータを年間の利益に換算すれば、約125兆円という大金になるそうです。
この莫大な利益がGAFAと呼ばれるGoogle、Amazon、Facebook、Appleへ流れているということに、世界は意義を唱えているようです。自国を守るために個人情報流出に規則を設けた、という流れですね。
プライバシーを守る方法は“使わないこと”?
近年、検索によるビッグデータを使った政治活動への転用や企業ビジネスでの独占問題が問題視されているようです。IT関連の情報漏洩問題も、いろんな場所で問題になっています。IT化が進めばとても便利な世の中にはなりますが、プライバシーという自身の保護がとても大事になってきます。つまり、セキュリティ。
IT開発者の中では、Wi-Fiは特に危険だと言われているようですが、PCやネットを利用して仕事をしている私たちに、Wi-Fiのない生活など考えられるでしょうか?難しい問題です。もはや個人情報が流出していないことなんて、あるのでしょうか、、、
私たちができる環境保護について
ここで紹介したECOSIAのように、私たちにできる環境保護はいくつかあります。例えば私のようなデザイナーなら、環境に配慮した素材を使う提案などができます。
また、生ゴミを家で完全リサイクルできる「LFCコンポスト」では、都会のマンションでも使えるトートバッグ型の生ゴミ処理方法で、栄養たっぷりの土に変換して家庭菜園に再利用ができます。
個人でも企業でも、環境問題への取り組みや意識は大事になってくる時代が到来しそうです。