経理が苦手な人は勘定科目を見ただけでうんざりするであろう経費関連。私はオンライン経理ソフトfreeeを使っているので少しは楽ですが、勘定科目の仕訳に迷うことは多々あります。今回は2019年度の経費をfreeeで仕訳した勘定科目(振り分け)について総ざらいしてみたいと思います。
フリーランスデザイナーの方はもちろん、他の業種でもだいたい同じような項目で仕訳ができると思うので、勘定科目で迷っている方は参考にしてみてください。わからなければ最初はとりあえず「雑費」で処理しておけば、後でいくらでも書き換えできますよ。
仕訳の内容は税理士の先生にチェックしてもらってるので、ここで書いてるように振り分けしていけば確定申告も問題なくクリアできるはず。税理士の先生から言わせれば、freeeはめっちゃ賢いらしいです。私もフリーランス1年目はわからないことが多く、結構適当に仕訳していましたが、ちゃんと綺麗に複式簿記の形になってるらしいです。(現金が超マイナスになっているのは指摘されましたが、、、)
※freeeでの確定申告の手順はこちらでどうぞ。(2020年更新版。今年は15分で終わった!)
確定申告(青色申告)にfreeeがおすすめな理由は、下記にて色々書いてます。
フリーランスの経費と種類一覧【経費にできるもの】
フリーランスデザイナーとして主に仕事で使う経費を項目ごとにまとめてみました。ここで書いている勘定科目で仕訳し、確定申告も問題なくクリア。税理士の先生チェックもクリア。
大きく値段が上がる勘定科目は「交際費(会議費)」と「消耗品費」らしいので、この二つは多めに振り分けても大丈夫かと思われます。つまりは「説明がつくならなんでもOK」というのが経費のルールらしいので、大雑把でも心配しなくて全然大丈夫。
【News】持続化給付金は「売上高」(課税対象)
特別定額給付金の10万円は非課税(事業主貸)ですが、フリーランスが受け取れる「持続化給付金」100万円は課税対象です。給付を受けたみなさん、経費使わないと所得税で持ってかれちゃいますよ!
食費(外食、会議、接待など)
仕事の打ち合わせで食事をしたときや、仕事へ出かける時に立ち寄ったコンビニでドリンクを購入した時、会議の際に振る舞ったお茶菓子的なものなど、仕事に関わる食費は全て使えます。年末年始のご挨拶、仕事相手との付き合いで訪れたイベント、お土産、お花代、その他贈答品なども入ります。
交際費
打ち合わせや接待などでランチやディナーをした場合、手土産や贈り物をした場合などに使います。ここは仕事の獲得にもつながる経費なので、結構多めに計上しても大丈夫。税理士さんに聞いたところ、交際費と消耗品費は相当数字が上がるのが通常らしいので、臆せずにじゃんじゃん使いましょう。個人事業主のコミュニケーションネットワークは大事です。ただし、あまりにも同じ項目が多くなりすぎると税務署に目をつけられるらしいので、その場合は「会議費」科目を増やして分散するといいそうです。(といっても年収1000万円以下ならほぼスルーされるようなので気にしなくてもいいらしい)
1万円を超える大きな金額は「交際費」、それ以下の細々した物は「会議費」と分けてもOK。
- ランチミーティング、ディナーミーティング
- 接待(仕事に結びつけられる食事会など)
- 打ち合わせで飲食を伴った場合
- お花や贈答、お歳暮やお中元など
交通費(旅費交通費)
外出した時の交通費や旅費です。打ち合わせや出張で使った電車、新幹線、飛行機、宿泊代などです。suicaなどのチャージもここで計上しています。ICカードのチャージ分はまるまる旅費交通費として計上しても大丈夫だそうです。とはいっても、生活費分をチャージして多額の経費を計上すると危ないので自己責任で。(中身の仕訳はなくて大丈夫)
- 電車、バス
- 新幹線、特急券
- 飛行機、船
- ホテルなどの宿泊代
- 自転車の一時利用など
商品の発注や発送、仕入れなど
顧客や業者、外部とのやりとりで発生する資材や素材、仕入れ関係の経費です。
仕入れ高
商品を作るための仕入れ関連です。イラスト素材や画像を買った場合などに使用しています。グッズの仕入れなんかもここで大丈夫です。印刷に出したときの発注分もこちらで大丈夫ですが、後述の外注費に回してもOKなので、お好きなように仕訳してください。
- イラスト素材
- 写真素材
- Web関連のシステム(Wordpressなど)
- 有料フォント
- Tシャツなどのグッズ下地やサンプル手配
外注費
仕事で外注した場合にこちらで計上しています。印刷業者に発注をした場合はここに入れています。制作に必要な資材を発注するときには外注として処理します。(印刷代は仕入れ高でもOK)
- 印刷関連の発注
- グッズ関連の発注
- 外部スタッフへの発注
広告宣伝費
営業や宣伝のために使ったものはこちらで計上します。名刺、フライヤー、Webサイト、広告などが当てはまります。サーバーやドメイン代を入れてもOKですが、私は後に出てくる「通信費」に入れています。
- 宣伝のためのWebサイト
- 名刺、フライヤー、カタログなど
- 広報活動費など
荷造運賃
商品やサンプル、書類などを発送した時の運賃や発送費用。梱包用素材などをここで計上しています。
- 商品の梱包材(ダンボール、エアーキャップなど)
- 宅急便や郵送などの配送料
仕事で使う物品などの購入や支払い
自分が仕事で使う機械や物品の経費です。PCやハードディスク、本、雑誌、参考資料など。買ったものはほとんどがここです。
工具器具備品
パソコンやハードディスクなどの機械類やソフトなどはここに計上しています。10万円以上で、使用年数1年以上のものは固定資産台帳にも記入しておきます(※減価償却対象です)。仕事の移動で使う電動機付き自転車なんかも入れてます。
※減価償却(定率法):パソコンなどの高額な器具を3年〜4年に渡って分割計上する方法。売り上げが黒字の時になるべく経費を多くして相殺し、税金を減らす術。
新聞図書費
情報集めのための本や雑誌、定期購読、セミナー、美術館やギャラリー、イベント関連など、デザインのアイデア探しに使ったものはここで経費にできます。(似たような項目で「研究費」という仕訳があるので、そこでもOK)
- 雑誌、本
- 定期購読(メルマガ、Webサイト)
- 美術館、ギャラリー
- セミナー、イベント
- デザインのためのサンプル
通信費
インターネットやドメイン、Adobeデザインソフト関連の支払いです。電話代もここで計上。
- インターネット
- 電話(スマホ、タブレット)
- ソフト関連(イラストレーターやフォトショップなど)
- ドメイン
- レンタルサーバー
消耗品費
日用品や事務用品、その他の消耗品はここにまとめています。ここも結構多くなりがちな科目なので、多少増えても多めに見てくれる場所らしいです。10万円を超えるような消耗品は価値があるものとみなされるので、減価償却の項目へ。PayPayなどの電子マネー決済もこのあたりでまとめてもいいかも。
- 筆記用具
- 整理用ファイル
- 印刷用紙
- インク代
- 観葉植物
- コーヒーメーカーなどの電化製品など
支払手数料
銀行やATMの振込や引き出し手数料など、各種手数料関連の支払い分を計上します。
立替金
支払いを立て替えたときに使用します。先に払っておいて、後から返ってくるお金はここで計上します。仕入れ高と違うところは、マイナス経費にならないこと。±0です。例えば、お客さんが請求書より1万円多くお金を入れてしまったとしたら、1万円が立替金です。立替した日付に借方で立替金計上しておき、返してもらったときに貸方で立替金計上すれば相殺となります。また、銀行口座間での口座振替や資金移動にも使えます。(マイナス経費にする場合は仮払金を選択します)
売掛金
先に請求書を発行し、後から口座に振り込まれた場合や、大きな金額を分割で受け取る場合に使用します。100万円の売上金を計上したとして、毎月10万円を10ヶ月間受け取る場合、売掛け金が現金で減っていくように処理をします。回収するたびに貸方で売掛金10万円を計上すればOKです。
freeeで複数の請求書を合算で振り込まれた場合の仕訳
例えば請求書を複数発行していたとして、後ほど合算して振り込まれたとします。この場合、請求書を発行した段階では「売掛金(未決済の取引)」と登録されているので、合算の振り込み金額が自動仕訳に上がってきたときに「未決済取引の消込」を選択し、該当する複数の請求書の金額を登録すればOKです。
家賃、事務所関連の支払い
事務所の家賃、光熱費など、仕事で使う建物や設備にかかってくる経費です。
【Q】家賃や光熱費を経費にできる割合は?【A】人それぞれ
事業用として使っている範囲として、30%〜100%の間で経費にできます。家の場合は仕事で使用している面積で計算し、水道光熱費の場合は時間で計算するとわかりやすいです。わからなければ大体1/3で計上すればいいと思います。(実働8Hで計算)
家賃(地代家賃)
自宅を事務所として使っている場合、使用面積と使用料分を経費にできます。働いた日数と時間を計算すると、割合はおおよそ1/3くらいに落ち着きましたが、ほぼ1日中家で仕事をするなら1/2でも問題ないとのこと。ほぼ生活が仕事になっているフリーランスは100%でも大丈夫です。(事務所で生活している、など)
持ち家の方にかかる固定資産税は後述の「租税公課」項目に移動します。
水道光熱費
電気代と水道代も事務所として使った分を経費にしています。こちらもおおよそ1/3くらいが基本。一日中仕事をしている場合はほぼフルで経費とします。
保険料
自宅兼事務所の火災保険料をこちらで計上しています。そのほか生命保険や国民健康保険も入れています。確定申告の際に保険控除が適応されるので、項目を記載して計上しておきましょう。
- 国民健康保険料
- 火災保険、地震保険
- 生命保険
- 企業共済
修繕費
事務所の設備関連の修理代やパソコン、スマホなどの機械類の修理に使えます。
- 仕事で使う機器やオフィス用品の修理
- 事務所設備の修理、リフォーム
- パソコンやスマホなどの修理
不動産所得税、固定資産税、自動車税(租税公課)
租税公課は経費として認められる税金です。購入した事務所や、仕事に使う車などにかかる税金はこちらに振り分けます。事業税もここです。ちなみに不動産所得税は軽減申請もできるので、対象物件かどうかを確認することも大事。全額免除なんてこともありえます。
プライベート用の経費
仕事とは関係ない、個人的なプライベート支出です。個人用のクレジットカードを使用して支払いした場合などに使います。
事業主貸(ぬしかし) or 事業主借(ぬしかり)
事業に関係のない生活費や、プライベート用のクレジット払いなどをここで処理します。簡単に説明すると「事業用のお金を自分に貸した」ということになります。逆に、自分のプライベート預金から事業用口座にお金を振り込んだ場合は「事業主借」項目につけます。これは「事業用のお金を自分に借りた」状態です。事業用口座から引き落とされている住民税(市県民税)などは、経費にならないのでここに計上しています。
- 住民税
- 生活費(プライベート用の支払い)
- 預金から引き出した資金(事業主借)
- 医療費(控除対象 ※後述 *1)
- 特別定額給付金の10万円
雑費(どれにも当てはまらない経費、科目がわからない経費)
特にカテゴリがない場合は雑費項目で処理します。会議のために水を買ったりコーヒーを買ったり、少額の支出はここに振り分けてもOKです。仕事中のおつまみとか、なんでも。あまりにも雑費が多くなりすぎるようなら、申告前にどこかの科目に偏りが出ないよう、雑費を移動してバランスよく配置するといいですよ。経費はバランスが命、らしいです。
医療費は控除対象(医療費控除 or セルフメディケーション税制)*1
医療費が1万2千円を超えると「セルフメディケーション税制」が、10万円を超えると「医療費控除」が適応され、控除対象になります。
セルフメディケーション税制について
健康管理のために購入したスイッチOTC医薬品(ガスター10やロキソニンsなど)や、健康診断やがん検診などの金額が1万2千円を超えた場合、その超えた金額(最大88,000円まで)が所得から控除される制度です。大きな病気をしていなくても、普段医療に使っているお金が控除対象になることもあるので、できるだけ領収書は取っておきましょう。インフルなどの予防接種も適応されます。
※購入した医薬品がスイッチOTC医薬品かどうかはレシートに記載されいています。
医療費控除とセルフメディケーション税制、どちらがどうなのかという詳しい比較はこちらのサイトが参考になります。
“セルフメディケーション税制”と“医療費控除”どっちがお得!?
株や投資信託は「有価証券」
株券や投資信託などの証券は「有価証券」で登録します。配当金などは「受取利息」項目で仕訳すればOK。売却したときの損益は、プラスの場合に「有価証券売却益」、マイナスの場合に「有価証券売却損」で処理するようです。
NISA口座での投資なら5年間非課税(2023年で終了)
株や投資信託を始めるなら、非課税の「NISA口座」を使って購入するのがおすすめです。通常の証券売買は課税20%対象(復興税含んで20.315%)なので、利益が上がったとしてもほぼ税金で持っていかれるのが通常。NISA口座での取引なら税金は0。そのまま利益確定です。
毎年120万円まで非課税投資ができ、購入してから最長で5年間は非課税対象(2027年まで有効)。
ただし、NISAが使えるのは2023年までなので、投資を始めるなら今がチャンス。2024年以降はNISA制度が新たに改悪し、積み立てNISAを毎年20万円使ってからでないと通常のNISA投資ができないという仕組みに変更します。
投資で増やすならあと3年がタイムリミット!
領収書(レシート)の管理【現金、クレジット、電子マネー】
私はクレジットと電子マネーと現金を使って精算しています。クレジットや電子マネーの場合は、利用明細が領収書や証明書の代わりとなります(買った日時や品目、決済方法が分かればなんでもOK)。ただし、現金の場合は領収書以外に証明するものがなくなるので、レシートや領収書の保管はお忘れなく。
もし領収書がない場合、例えばランチミーティングの割り勘などは「出金伝票」をつけて保管しておきましょう。Amazonや楽天などのオンラインショッピングは、電子領収書のPDFをダウンロードして保管しておくとベスト(納品書でもOK)。
領収書(レシート)の保管義務は5〜7年(所得が300万円以下なら5年でOK)
現金、クレジット、電子マネーの領収書(レシート)は、とりあえず月ごとにまとめてファイルに入れておいて、日にちと金額がわかるようにしておけばどんな管理方法でも大丈夫です。保管義務は5〜7年間ですが、前々年の所得が300万円以下なら5年保管でいいらしいです。
私の場合、領収書(レシート)を下の3つに分け、日付順にホッチキスでとめて月毎に保管しています。
- 現金支払いのレシート
- クレジット払いのレシート
- その他のレシート(ICカード払いや電子マネー決済、ポイント払いなど)
Web明細書とクレジット明細のPDFはPCのフォルダ(年毎)で保管しています。クレジット払いの領収書に関しては、利用明細があれば領収書(証明書)代わりになるので、別に保管しなくても大丈夫かも。
私は最近PayPay払いが多いので、Yahooカードと連携させてクレジット明細にまとめています。現金を使わなければほぼ自動仕訳が適応されるのでめっちゃ楽。フリーランスの経費は現金よりも電子決済に限ります。
請求書は収入印紙代がかからないWebメールがおすすめ
紙の請求書&領収書を発行すると、5万円以上の支払いには領収書に印紙を貼り付けないとダメですが、Web領収書なら印紙代がかかりません。PDFで送付できるし、超便利ですよね。請求書や領収書はWebメールで。エコで一石二鳥です。
フリーランスの請求書:源泉徴収税とは
フリーランスデザイナーは、法人とお仕事をするたびに源泉徴収税というものが引かれますが、これは確定申告で還付される項目でもあるのでしっかりと管理しておきましょう。freeeで請求書を作っているなら「源泉徴収税」を自動で計算してくれる項目があるので、確定申告の還付処理も自動で計算されるので楽々です。フリーランスデザイナーの源泉徴収税の計算方法や内容についてはこちらで解説しています。(所得税などの税金関係も)
ちなみに源泉徴収税は売上高に入るらしいです。差し引いた金額ではなく、そのままの報酬金額が売上高に計上されます。
おまけ:副業でも経費計算や確定申告は必要なのか?
最近は本業の他に副業をしている方も多いと思います。副業の場合、収入が年間20万円以下なら申告の必要はありません。なので、月2万円以上稼ぐ人以外は申告しなくていいことになります。
では、20万円を超えると申告しなければいけないのか?確定申告は一応義務ですが、税理士の先生に聞くと、ほとんどの人が申告をしていないのが現状らしいです。ただ、今回のコロナ給付のように、確定申告書類がないと申請が通らないケースもあるので、一応しておいた方が後々のことを考えると得なことは多いのかもしれません。さらに、申告漏れがバレると無申告加算税の支払いを求められるのでリスクもあります。100万円以下なら経費でなんとか相殺できるかもなので、freeeなどのソフトを活用して青色65万円控除を使って、楽にお得に申告していきましょう。