オフィスや店舗など、壁面を大きく使ってデザインを製作するならまずは素材選びから。施工に使える装飾素材や技法を調べたのでダイジェストで紹介します。
目次
カッティングシート
展示会の壁やショーウィンドウのガラス面などに、写真やイラスト、文字などを貼る技法。デザイン自体はイラストレーターで作る。ガラスや塗装面など、つるっとした面には貼りやすいが、凸凹した壁紙やザラザラした壁面には不向き。もしカッティングシートを貼る場合には、下地処理が必要になる。
クロスシート(壁紙印刷)
壁紙に印刷を施す方法。広い面積に印刷をしたい場合はこちらの方法がベスト。貼る面によっては下地処理が必要(シートが剥離しそうな面は不向き)。横幅は900cmで出力が可能です。クロス職人の腕によって出来栄えが変わるらしい。
塩ビシート(シール)
壁紙ほどではなく、表面加工(PPコート)を施したシート。壁面などの特大広告ポスターなどはこの印刷方法で対応することが多い。裏地の柄が透けそうで気になるならグレー糊付きを使えば大丈夫。屋外で使用するならUV加工が必須。田舎のパーマ屋さんのように、インクが抜けて青いネガのような印刷になってしまいます。
パネル(スチレンボード、アクリルボード)
厚みのあるスチレンボードやアクリルボードを使ったパネル。立体感を出したいときに使います。表面加工をマットPP貼りにすれば、反射を防ぐことができ、耐久力もアップ。パネルはどうしても衝撃によって凹んでしまいますが、アクリルボードなら劣化も最小限に。
塗装(モルタルなど)
美術館の壁のように白い塗装を施す方法。左官の技術さんにお願いすればデザインの入った模様も可能。下地処理が必要な場合も。ペンキで塗装するのもあり。ペンキを選ぶ場合はなるべく「F☆☆☆☆」を選びましょう。人体に影響が少ない塗装素材です。
吊り下げバナー
商業施設や駅構内でよく見る上から垂れ下がっているバナーです。ポスターペーパー、ポンジ 、スウェード、トロマット、メッシュターポリンなどがあります。透過性があるか、風を通すか、遮光性があるか、屋外か屋内かで素材が変わります。上下に袋縫いをしてポールを通すタイプか、クリップで吊るすかになります。
おまけ:美術館の展示はどうやって施工している?
壁面加工のアイデア探しも兼ねて、大阪にある国立国際美術館へ出向き「抽象世界」の展示を見に行きました。そこで気になったのは、いつもより部屋の面積が狭くなっていたこと。(壁が内側に入っている感じ)
早速スタッフさんに聞いてみたところ、ここの美術館に関しては、毎回展示内容に合った壁を一から作るらしいです。私は毎回同じ壁を使い、シートを剥離しているものだと思っていたのですが、どうやら一回一回撤去しているみたいです。展示会のブースと同じですね。
壁面に飾られている重そうな絵画やアクリルのケースは専用の金具が付いており、壁に金具を打ち込んで固定し、フックのように引っ掛けているそうな。
そして今回、ちょっとした収穫だったのがこの壁。壁というか、麻のシートに油絵の具(おそらく蛍光塗料入り)を厚塗りして、あたかもレンガのようにみせている作品です。
麻のシート自体は木製のフレーム壁に固定されており、落ちないようになっています。
なるほど、下地に麻のシートを使うとは、、、さらにコンクリではなく油絵で、、、と、面白いアイデアをいただきました。
他にもスワロフスキーを油絵に散りばめてラメ塗料のように使っている作品もありました。星屑の表現として使えそうですね。