Illustrator(イラストレーター)のアウトライン化まとめ【テキスト・パス・線・ブラシ】

2019-11-05
デザイン制作

イラレで印刷入稿する際には文字のアウトライン化が必須です。その他、パス(線)やブラシもアウトライン化できます。ここでは、それぞれのアウトライン方法についてまとめています。

アウトライン化とは?【フォントをアウトライン化する理由】

アウトライン化とは、文字や線、パス、ブラシなどのアピアランス(装飾)をオブジェクトに変換することを指します。文字をアウトライン化すると、画像下側のようにパスで囲まれたオブジェクトに変換されます。

文字のアウトライン化

文字をアウトライン化する理由は、違うパソコンでデータを開いてもフォントが置き換わらないようにするためです。また、文字のカーニング(文字間)が変わったり、壊れたりすることを防ぐ役割も果たします。つまり、アウトライン化=データ共有時のトラブル防止と思ってください。

印刷用の入稿データをアウトライン化する

印刷入稿やデータ納品では、必ずアウトライン化したデータを用意します。Adobeフォントやモリサワフォント、フリーフォントなどはアウトライン化しないと他のPCでは表示されなかったりするので危険。例えイラレ同士であっても、バージョンが違うとフォントの置き換えが発生することも。とりあえずデータ交換の際には「アウトラインデータ」を同封するのがマナー。

フォントの置き換え以外にも、データを改竄されたり二次加工されることを防ぐ役割として、アウトラインデータを渡すこともあります。デザイナーにとって、編集可能なデザインデータは命そのものです。安易にパッケージ(アウトライン化なしのAiデータ)を渡したりすると、そのまま使いまわされたりすることがよくありますが、厳密には違反となります。(そもそもデータそのものを渡すのは良くない)

もう一点、コピー機の種類により、出力でフォントの置き換えが起こることもあります。出力する時にもアウトライン化するとベスト。(アウトライン化したデータを印刷すると、文字が少し太く見える)

アウトライン化をショートカット「Command + Shift + O」で爆速に!

文字をアウトライン化するとき、メニューの「書式 > アウトラインの作成」から行なってもいいですが、イラレのヘビーユーザーはそんな悠長なことはしません。一発でアウトライン化する方法として、ショートカットキー「Command + Shift + O」を使います。(WindowsならCtrl + Shift + Oかな?)

さらに、いちいちテキストを一個ずつ選択してられないので、全部選択してから一括でアウトラインする「Command + A」(全選択)と「Command + Shift + O」(アウトライン化)をセットで実行します。

さらに言うなら、私はオブジェクトのロック機能(Command + 2)や、オブジェクトを一時的に消す不可視機能(Command + 3)をよく使うので、これらのアウトライン化を忘れないために「入稿データルーティーン」として下記を実行します。

  1. 「Command + Option + 2」でロックの解除
  2. 「Command + Option + 3」で不可視の解除
  3. 「Command + A」で全て選択
  4. 「Command + Shift + O」で一括アウトライン化

これをずっと繰り返していると、5秒以内に全部アウトライン化できるようになりますよ。(爆速な分、失敗談も多々ありますが。。)

アウトライン化を解除する方法

文字をアウトライン化したあと、元に戻すショートカットは「Command + Z」です。アウトライン後にデータを保存し、そのまま閉じてしまうと、アウトライン前の状態には戻らないので注意しましょう。基本的には「アウトライン前のデータ」と「アウトライン化したデータ」の二つを残しておくことが鉄則です。

アウトライン化する前には必ず「別名で保存」をして元データを残す

アウトライン化する前のデータを残しておかないと、あとで修正が入ったりした時に文字の編集ができないようになってしまいます。必ずアウトライン化したデータは別名保存をするように気を付けてください。作業の流れとしてはこうです。(私は全部ショートカットキーでやります。みなさんもぜひ)

  1. アウトライン前に保存する(command + S)
  2. アウトライン化する(command + Shift + O)
  3. 別名で保存する(command + Shift + S)
  4. アウトラインデータ(ol.ai)と元データ(.ai)を両方保管する

アウトライン後のデータには「ol」という名前をつけて保存しておくと、元データとごっちゃにならずに管理がしやすいです。デザイン系の制作会社などでは暗黙の了解のように「◯◯_ol.ai」と名前を付けてアウトラインデータを保管しているので、誰が見ても「これはアウトラインデータだな」ということが分かり、共通認識がしやすくなります。(※ol=OutLineの頭文字)

アウトライン化でよくある失敗「上書き保存して元データを消す」

ショートカットキーを使うと作業はめちゃくちゃ速くなるんですが、速すぎて頭が追いつかないというか、イラレの処理速度も追いつかないというか、ひょんなことでアウトライン前のデータに上書きしてしまい、そのままアウトライン化された状態で保存して閉じてしまうという失敗がよくあるんですね。

この場合、データを一から作り直しなんて事態になるので(地獄のトラブル)、アウトラインデータの保存には十分に注意を払ってくださいね。例えばプリンターで出力する時なんかでも、面倒ですが「アウトライン化→出力→もとに戻す」を繰り返しながら印刷した方がトラブルを未然に防ぐことができます。

線(パス)やブラシもアウトライン化しよう!【特にロゴやマーク】

テキストだけではなく、線やブラシもアウトライン化できます。特にロゴやマークデザイン、ビジュアルデザインなど、他の媒体でも使用頻度が多く、拡大縮小を繰り返すものに関しては必ずアウトライン化しておきましょう。線やパスは環境設定をいじらないと、拡大縮小の時に比率が変わるので注意です。

上がそのまま、下がアウトライン化

線(パス)のアウトライン化は「パスのアウトライン」

アウトライン化したい線を選択し、メニュー「オブジェクト > パス > パスのアウトライン」でアウトライン化します。これで線が長方形のオブジェクトに変換されます。線と塗りの両方を使っているオブジェクトをパスのアウトライン化すると、線と塗りが分離し、両方のオブジェクトを作ることができます。(分離させるにはグループの解除)

パスのアウトライン化

複雑なオブジェクトの場合には、パスの数だけオブジェクトが作られることがあります。パスの数が増えるとデータが重くなるので、こういうときはアウトライン化されたパスを「パスファインダー > 結合」を使って合体させ、一つのオブジェクトにしてしまいます。

ブラシのアウトラインは「アピアランスの分割」

パス同様、拡大縮小で形が変わるのがブラシ。また、他所からダウンロードしたブラシは特にアウトラインしておきましょう。ブラシの場合はパスではなく「オブジェクト > アピアランスを分割」を使います。意外と知らない人が多いかも?

間違えやすい:アウトライン表示とアウトライン化は違うもの

イラストレーターのデータが重くなりすぎたときに「プレビューを表示できません」というエラー表示が出た後、全てのデータが黒い線(アウトライン)になってしまうことがあります。これは「アウトライン表示モード(command + y)」というもので、メモリ不足によってデータ処理が追いつかなくなり、イラレ側が「無理!」と言って一時的に線画モードに変えてしまうセーフティー機能です。

  • アウトライン化=メニュー「書式 > アウトラインを作成」
  • アウトライン表示=メニュー「表示 > アウトライン」

急にアウトライン表示になってしまった場合は、知らない間に「command + y」のショートカットキーを触ってしまったのかも。そんなときは「command + y」で通常のプレビューモードに戻りましょう。

印刷入稿データ(版下)の作り方【チェックリスト】

印刷入稿するときには、アウトライン以外にトンボ(トリムマーク)や塗り足しなど、いくつかのチェック項目があります。これらが揃って「版下データ」として入稿ができるようになります。オフセット印刷とシルクスクリーン印刷では作り方が少し違いますので、その辺りも踏まえて入稿データの作り方をおさらいしておきましょう。

Illustrator(イラストレーター)での入稿データの作り方【オフセットor特色(シルクスクリーン)】 – freespace

Illustratorで作ったデータを、印刷用の入稿データに変換する方法です。 …
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