2019年11月、Adobeソフトが2020へアップデートし、IllustratorとPhotoshopも新しい機能が追加されパワーアップ。画期的!とまではいかなくても、作業効率アップにつながる進化がたくさん。2019年版から比較して「ここが楽になった!」というところを紹介したいと思います。
【News】2021年版がアップデート!
目次
Adobe 2020ではパフォーマンスが改善され高速化
Illustrator 2020 & Photoshop2020では、高速作業で重要な動作のパフォーマンスも改善されました。CC 2019版よりサクサク動くようなので、もし今 Adobe CC 2019を使っていて動きが悪いとか、重たいと感じている人はアップデートした方がいいと思います。
Illustrator2020の新機能(アップデート)
まず、全体の速度処理が早くなったことで、ぼかしツールなどの効果フィルターの動きが良くなりました。2019年版では途中で止まったりしていましたが、だいぶスムーズに改善されています。作業スピード向上に関わる大事なところですね。
Illustrator2020の新機能:パスの単純化の精度がアップ
画像のトレース作業の後に使う「パスの単純化」ツールが賢くなってます(パスの単純化=アンカーポイントを減らして滑らかにする)。以前は細かい設定が必要でしたが、要らないパスは取り除き、必要なパスだけを残す判断ができるように進化しています。
Illustrator2020の新機能:自動スペルチェックの導入
今回から自動スペルチェックが追加されています。文章を多く扱うデザイナーさんにはとても便利な機能です。テキストのチェックだけに数人がかりになっていたことを思うと、ミス防止に役立ついい機能です。
そして、個人的に推したい注目すべき新機能は「フリーグラデーション」ツールです。いままでグラデーション機能というのは、単一的な「グラデーション」と、自由に複雑な色を組み合わせる「グラデーションメッシュ」がありましたが、この二つの間を取ったのがフリーグラデーションと言えそうです。
Illustrator2020の新機能:フリーグラデーションツールの登場
新しいフリーグラデーションでは、水彩画のようなぽわっと丸いグラデーションを自由な場所に作れるようになりました。画用紙の上に色を落とす感覚で、リアルに近い色の混ざり具合が表現できます。
上の図の白丸のように、どこで自由に色のポイントを置くことができます。追加の方法は従来のグラデーションツールと同じ。丸いグラデとラインのグラデが選べるので、メッシュ機能を使わなくてもそこそこ複雑なグラデーションを作ることができます。
実際にフリーグラデーションツールを使って風景を作ってみました。画像と比較してください。
10分もかからず風景が作れてしまいました。フリーグラデーションツールのポイントとラインの使い方はこんな感じ。
右図の白丸のところ、6箇所に色を置いています。海のところは普通のグラデーションを乗算でかぶせ、山と浜は黒ベタです。自然の空の複雑な色の混ざり具合が綺麗に作れます。
メッシュツールが面倒だから、グラデーションの画像を作ったり拾ったりしてマスクをかけていた方も多かったはず。これからはフリーグラデーションツールを使っていきましょう。ベクターの方が間違いないですしね。色が丸くぼやけるとより自然に見えますよね。
フリーグラデーションツールは上のコントロールバー(表示 > コントロール)の一番右側、三番目のボタンで作れますので一度試してみてくださいませ。(下図参照)
イラレでは作ることが難しかった七色のシャボン玉も簡単に作ることができます。フリー素材として配布しますので、ダウンロード後に分解して中身を見てみてくださいね。
フリーグラデーションツールを使ったシャボン玉です。
【解説】シャボン玉をフリーグラデーションツールで作る方法
- 丸いオブジェクトの中にフリーグラデーションを7色入れる(円のラインあたりに配置)
- 中心に白を大きめに大きく配置(中心は透明にするため)
- 乗算して背景に馴染ませる
- 同じ大きさの円で、中心が透明になるモノクロ円形グラデーションを置く
(※スーパーソフトブラックビネットがベース) - 二つの円をグループ化し、全体に透明フィルターをかける。
文字にすると複雑そうに見えますが、実際のパーツを分解すると分かりやすいですよ。フリーグラデーションツールを操る前に、基本のグラデーションツールを使いこなしたい方はこちらへどうぞ。
その他、細かいアップデートの詳細は公式サイトの解説ページへどうぞ。
Adobe公式サイトの Illustrator 2020 新機能解説ページへ
Photoshop 2020の新機能(アップデート)
Photoshop2020では、変形ツールの進化やフィルターのライブプレビュー、コンテンツに応じた塗りつぶしの精度アップなど、作業が楽になる系のアップデートが多くなっています。その中でも特筆すべき新機能は切り抜きツール系の進化「オブジェクト選択ツール」でしょう。Photoshop2020ではオブジェクト個別での被写体選択が可能になっています!
Photoshop 2020の新機能:オブジェクト選択ツールで被写体選択の切り抜きが簡単になった
Photoshop CC 2019では、ボタン一つで自動で被写体を選択できる「被写体選択ツール」という画期的な機能がありましたが、Photoshop2020ではそこからさらに進化し、オブジェクトの一部を一発で選択できる「オブジェクト選択ツール」が新たに加わりました。Photoshopといえば切り抜きツールと言わんばかりの切り抜き系の躍進。パス切りやクイック選択ツールを使わなくてもこれで解決!
Photoshopの切り抜きツールの進化
Photoshopを初めて使用したのが約15年前。その頃のスタンダードは「パス」による選択範囲の選択と切り抜き。そしてクイック選択ツールによる境界線の調整で髪の毛などの細かい切り抜きが高速化。次に被写体の選択が登場し、圧倒的スピードでメインビジュアルを選択できるように。ついに今回のアップデートでオブジェクト単体での選択&切り抜きが可能になりました。次はどうなるの?Photoshop!
Photoshopの切り抜きがガタガタになる理由は解像度が低いから
オブジェクト選択ツールを使っても、思っていたよりうまくいかないなーと思うことがあります。そんな時は解像度を上げてみてください。オブジェクトの輪郭がはっきりしない低解像度の画像では、切り抜きも上手くいきません。そんな時は強制的にでも解像度(dpi/ppi)を上げてみましょう。
Photoshop 2020の新機能:整列ツールの進化(オブジェクトの均等配置)
その他のアップデートで私が地味に嬉しかったのは、整列ツールでオブジェクトの大きさにとらわれない均等配置ができるようになったこと。
今まではオブジェクトの大きさが揃ってないと均等にならなかったので、これは使い勝手が良くなった。やっぱりユーザーのリクエストが多かったんですね。ってことは、欲しい機能をフィードバックすれば追加されるかもしれませんね。
Adobe公式サイトの Photoshop 2020 新機能解説ページへ
Adobe製品もついに2020へ。今後の進化が楽しみです。
Illustratorの使い方はこちらにまとめてます!