Illustrator(イラストレーター)のマスク処理【いろんなマスクの使い方】

2019-12-02
デザイン制作

Illustrator(イラストレーター)で画像やオブジェクトを好きな形に切り取りたい、整えたい。そんなときに使うのが「クリッピングマスク」というトリミング機能です。ただ単純に切り抜くだけでなく、透明効果やグラデーションのようなエフェクトを加えるこもできます。

厳密に言えば切り抜いているわけではなく、オブジェクトの外側部分を隠しているだけなので、マスクを解除すればいつでも元に戻すことができまます。(Photoshopのクリッピングマスクと同様)

クリッピングマスクとは?構造を見てみよう

クリッピングマスクの構造が分かりやすいように、実際にストライプ柄をマスクした例で見てみましょう。左側がマスク前、右側がマスク後。

ストライプ柄が、前面に配置した青い長方形の形にクリッピングされました。このように、前側にある図形の形でくり抜かれるのがクリッピングマスクです。Illustratorでパターン柄を作るときは、こんな感じでマスク処理して端をきれいに整えたりします。

マスクと似たような機能で、オブジェクトを切り抜く「パスファインダー(パスの切り抜き)」というのもありますが、これはマスクのように隠すのではなく、完全に切り取ってしまうツールです。間違えないように注意しましょう。

クリッピングマスクで画像を切り抜く(基本の使い方)

まずは、基本的なマスクの使い方から。切り取りたい画像を配置し、その上(前面)に切り抜きたい形のオブジェクトを置きます。長方形ならツールバーの長方形アイコンを選択し、画像の上でドラッグすればOK(サイズは任意で)。

オブジェクトの色(塗り&線)はあってもなくても大丈夫ですが、選択が外れると見えなくなるので、慣れないうちは線の色がある方がわかりやすいと思います。

マスクするときは、必ずオブジェクトと画像の両方を選択してください。選択ツール(黒い矢印アイコン)で画像とオブジェクトを同時にドラッグし、選択します。
そのままショートカットキー「command + 7」を使えば、一瞬でクリッピングマスクされます。
(メニューからは「オブジェクト > クリッピングマスク > 作成」)

こんな感じでマスクされましたか?この使い方がクリッピングマスクの基本です。

うまくいかない場合は、レイヤーの重なり順をチェックしてみてください。必ず切り抜く方が上、切り抜かれる方が下です。レイヤー分けやグループ化で順番がややこしくなってるときもエラーが出やすいので、重なり順は明確に。画像にロックがかかって選択できない場合も失敗するので要注意。

クリッピングマスクを解除する

クリッピングマスクを解除すると、元に戻すことができます。ショートカットキーは「command + option + 7」です。何層もマスクをかけているオブジェクトの場合は、回数分だけ解除すれば一番最初に戻ることができます。

裏技1.クリッピングマスクの状態で画像を移動&拡大する

クリッピングマスクをした状態でも、「ダイレクト選択ツール(ツールバーの白い矢印アイコン)」を使えば画像を移動したり変形させる事ができます。

まず、動かしたい画像をダイレクト選択ツールで選択し、好きな方向へドラッグしながら移動します。わざわざマスクを解除する必要はありません。

そして、画像を変形したい場合は、ダイレクト選択ツールで画像を選択してから、拡大・縮小ツールに切り替えドラッグで拡大縮小をします。切り替えが面倒なら、「V」キーを押して選択ツールに切り替え、そのまま自由変形してもOKです。(拡大縮小の際は必ず「shift」を押しながらやること。縦横比率が変わらないように注意しましょう)

ちなみに選択ツールのショートカットキーは「V」、ダイレクト選択ツールのショートカットキーは「A」です。

裏技2.クリッピングマスクの中にオブジェクトを追加する

クリッピングマスクをした状態で、中にオブジェクトや画像を追加したい場合は、ダイレクト選択ツールでマスク内のオブジェクト(どれでもOK)を選択し、そのまま「command + V」でマスク内にペーストして追加します。あとはダイレクト選択ツールで移動すれば、マスクを解除することなく編集ができます。(レイヤーの位置を合わせることで、マスクの中にオブジェクトを入れることができます)

画像を円形(丸形)にマスクし、切り抜く(応用編)

長方形と同じ方法で、今度は丸いオブジェクトでマスクします。楕円形ツールは長方形ツールの後ろに隠れているので、アイコンを長押しドラッグし、楕円形ツールを選択します。

正円を描くには「shift」を押しながらドラッグ。中心から描きたい場合は「shift + option」でドラッグです。

前側に正円を置き、画像と両方選択してから「command + 7」。

できましたか?では、次は円形にマスクした画像の輪郭をぼかして、ふわっとしたマスクに挑戦してみましょう。

クリッピングマスクの輪郭をぼかす(マスクのぼかし)

普通のマスクはアウトラインがはっきりしていますが、「ぼかし効果」と組み合わせることで、輪郭をフワッとぼかすことができます。

マスクしたオブジェクトを選択した状態で、メニュー「効果 > スタイライズ > ぼかし」を選択。

「プレビュー」にチェックを入れ、半径の数値を変えながらプレビューで調整します。いいところでOKを選択すれば、フワッとした雪のような画像が作れます。冬に使える簡単な加工です。

クリッピングマスクで透明グラデーションを作る

グラデーション効果と組み合わせれば、だんだん透明になっていくような画像やオブジェクトを作ることができます。まず、マスク用のオブジェクトを画像の前に作り、グラデーションを加えます。(オブジェクトを選択した状態で、ツールバーのグラデーションアイコンをクリック)

グラデーションの黒い部分が消えて透明になり、白い部分は残ります。グレーの部分は半透明。あらかじめどこを消したいか、考えながらグラデーションの位置を変えるといいですよ。(グラデーションの操作方法についてはこちら

画像とグラデーションオブジェクト、両方を選択した状態で、透明パレットの中にある「不透明マスクで形状の抜きを定義」という場所にチェックを入れ、「マスク作成」ボタンを押せば完成。
(透明パレットの場所:メニュー「ウィンドウ > 透明」)

こんな感じで出来ましたか?余白を作りたいときに使われる加工ですね。

画像を文字(テキスト)の形にクリッピングマスクする

クリッピングマスクは、オブジェクトであればどんな形にでも切り抜くことができます。例えば画像を文字の形にマスクして、デザイン性の高いタイポグラフィを作ることもできます。

作り方は簡単。テキストをアウトライン化し、マスクするだけです。

まず、切り抜き用の文字を作ります。太めのフォント(Bold書体)を選ぶときれいです。
次に、文字をアウトライン化してオブジェクトに変換し、ショートカットキー「command + 8」でオブジェクトを結合させます。(メニュー「オブジェクト > 複合パス > 作成」でも可)

結合する理由は、4つの文字を一つのオブジェクトに変換し、レイヤーを結合するためです。結合前の状態では、4つがバラバラのレイヤーになってしまっているので、マスクは一番上にある文字にしかかかりません。テキスト全部が同じレイヤーとして画像の上にいないとマスクは成功しないんですね。

最後に結合した文字と画像を選択し、いつものように「Command + 7」でマスク。

こんな感じで、画像が文字の形にマスクされます。

この方法を使えば、ベクターデータではなかなか作れない複雑な装飾文字も簡単に作れてしまいます。水彩画の背景をマスクすれば、簡単に水彩画風の文字も作れますし、アニマル柄やストライプなんかも簡単に作れますよね。

Illustratorでは、このクリッピングマスクを頻繁に使います。デザイン系の実技とかでも出てくるくらいなので、必ず使えるようにしておきましょう。トリミングのセンスも大事で、どの部分をマスクするかでデザインの印象も変わりますからね。

その他にも、Illustratorで覚えておきたい基本的な機能や、応用機能をまとめた記事を作りましたので、興味があればぜひ!

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