壁紙のデザインと印刷、施工について

2019-12-18
デザイン制作

お仕事案件で、初めて壁紙(クロス)のデザインと施工をすることになりました。今回の仕事を通して、今まで知らなかったクロス貼りの施工方法や段取りなど、とても勉強になることが多かったので、こちらで備忘録としてまとめてみたいと思います。

壁紙(クロス)の印刷について

輸入壁紙を扱うWALPAさんなど、デザインクロスが近年流行の傾向にあります。デザイン柄のクロスがあるということはつまり、自分でもオリジナル柄のクロスが作れるということでもあります。

例えば壁全面にイラストやデザインを作りたいとなれば、印刷したシートやカッティングシートを貼るよりも、クロスに印刷をして全面貼りをした方がデザインの自由度は高まる。ピシッとした壁面デザインを作るなら「クロス印刷」をして「クロス貼り」するという方法があるのだと知りました。

壁紙(クロス)印刷のサイズ

クロスのサイズは横幅900mmが規定値となるそうです。厳密には伸縮性も加味して860mmくらいに収める必要があるみたいなのですが、印刷屋さんの指示を仰いで作るとよさそうです。

データの作り方は通常通り(ポスターなどの大判印刷と同じ)で大丈夫みたいですが、壁紙の素材に凹凸があるものを選ぶなら、小さな文字の印刷が出にくくなることもありますのでご注意を。

壁紙(クロス)の種類

クロス生地には「紙」「ビニール」「プラスチック」などの種類がありましたが、私が選んだのは「紙」。中でもシビアと言われる凹凸なしの壁紙生地で、素焼きの陶器のように上品な質感が美しく、美術館のようなイメージを再現できるものでした。シビアと言われる特性上、下地の凹凸を拾いやすく、職人さんの腕が大事になってくるみたいです。

生地に凹凸があるものだと、下地のガタつきを拾いにくく、凡庸的に使いやすいみたいですが、細かい文字の印刷が乗りにくかったり、すっきりとした美しさを出すのは難しそう。

反対に、凹凸がない生地は印刷が乗りやすく美しい仕上がりになりますが、仕上がりを左右するのは下地処理や職人の腕に依存することになるようで、リフォームの場合は下地がどこまで綺麗になるかがポイント。

予備知識:ビニール生地のクロスはカッティングシートがつきにくいらしい。

壁紙(クロス)貼りの工程について

新しく作った壁にクロスを貼る場合は問題ないですが、中古物件のリフォームでクロスを張り変える場合は先に下地の確認をした方がいいです。壁紙を剥がして下地を確認し、必要であれば下地を作り直します。さらに、下地に使っていた石膏ボードが腐っていたり、カビが生えたりしていれば綺麗に直してからクロス貼りしていきます。

下地処理が必要な状態の壁

下地が壊れていないかチェックする日程も考慮してから施工スケジュールを組んだ方が良さそうです。

下地作りが重要なクロス貼り

元ある壁紙を剥がした時に、ある程度綺麗な下地が出てきたとしても、そのまま壁紙を貼っても大丈夫なわけではなさそうです。理由は、一部残ってしまう下地が、パテや糊の水分を吸ってしまうことにより、仕上がりのクロスがたわんでしまう状況が予想されるからです。この辺りは現場経験を重ねたクロス職人の方に判断を委ねた方がいいと思います。なるべく下地処理をしっかりしておかないと、せっかく綺麗にクロス貼りをしたとしても後々浮いてきたりして台無しになり、トラブルに発展してしまう恐れもあるので、慎重に。。

壁紙の下地作りは石膏ボードか板材、左官、パテ

下地処理の工程は「左官工事or石膏ボードで下地作り」→「クロス職人によるクロス貼り」となるようです。板材を敷くこともあるようですが、石膏ボードの方がクロスの乘りもよく、値段も安いとのこと。左官工事は職人の腕も要るし、値段も高い。無難は石膏、理想は職人?

年末年始は繁忙期?施工の段取りはしっかりと

施工スケジュールは、一つの工程がずれてしまうだけで大幅な変更が出てしまうこともあります。特に11月から年末に向けては職人が捕まらないこともあるみたいなので、前倒しで施工スケジュールを確保しておくことをお勧めします。1日のズレが1ヶ月のズレになってしまうなんてことも?

紙面上のスケジュールがすべて完璧に進めばいいのですが、詰め込んだ日程表では必ず無理が出てくることが予想されます。人手不足も進む中、建築の現場は大変そうです。施工というものは難しく、予想がつきにくいものなんだと改めて思いました。