Illustrator(イラストレーター)の文字組みアキ量設定をカスタマイズする

2020-01-15
デザイン制作

Illustratorでテキストを作ったとき、文字の前後に不自然な余白が出て気になることはありませんか?例えば数字と文字の間に出る空白や、()と「」の前後に出る余白、「。」や「、」の後の隙間など、数えればキリがないほど不自然な余白は存在します。

Illustrator(イラストレーター)で文章をきれいに整える

Illustratorのデフォルト設定のままでテキストを打ち込んだだけでは、綺麗な文字組みはできません。そこで、簡単で綺麗に余白を調整してくれる機能を使って調整していくのですが、Illustratorには便利な「自動調整機能」があるので、まずはその方法を試してみましょう。

それでも気になる部分は自分でカスタマイズしていくしかないのですが、カスタマイズは結構複雑な設定になってくるので、初心者の方はまず自動調整からマスターしていくといいと思います。後々いろんなことがわかってきたらカスタマイズ設定に入っていくと設定方法もわかりやすくなってきます。

後半の記事は結構プロ的な使い方なので、まだ慣れてないときは「そういえばあんな記事があったな」くらいで留めておいてちょうどいいかも。今後イラレでデザイン制作していくなら便利に使える機能です。

テキストボックスを作る

まずはテキストボックスに文字を流し打ちしてみます。

テキストボックスはツールバーの「T(テキスト)」マークを選択し、アートボードの上でドラッグすると作れます。今のイラレは標準でダミーテキストが入るので、最初は下記のような状態になるかと思われます。

このように文字を流し打ちし、何もいじってない状態のことを「ベタ組み」と言います。

そして、ベタ組みの場合は右側に謎の余白が出ることに注目。このままでは文章がボコボコになってしまうので、右側の謎の余白を打ち消していきます。

【補足:赤い+(プラス)マークは何?】
テキストボックスの右下に見えている赤色のプラスマークは、テキストボックスに入りきれてない文字(続き)があることを教えてくれています。テキストボックスを拡大すると残りの文章が現れます。

テキストボックスの余白をなくし、左右を揃える

テキストの設定を書式パレットで確認します。書式パレットがない場合はメニューの「ウィンドウ > 書式 > 文字」で表示されます。

書式パレットには「文字」と「段落」があり、文字パレットではフォントの種類や大きさ、文字間や行間の設定ができ、段落パレットでは文字揃えなどの文字組み設定ができます。

段落パレットの一番上真ん中にある「均等配置(最終行左揃え)」を選択すれば、文字の右側に出ていた謎の余白がなくなり、ボックスぴったりに揃います。

文字の余白を自動で整える「メトリクス」と「オプティカル」

フォントの種類によっては文字の余白にバラつきがあります。そんなときは文字パレットの「文字間のカーニング(V/A)」で調整します。バランスがよくわからないうちは、自動で綺麗なカーニングを調整してくれる「メトリクス」か「オプティカル」を選ぶといいです。

例えば「ショー」のような小文字と伸ばし棒、「イ」や英語の「T」などは謎の余白がつきやすいので、手っ取り早くオプティカルで自動調節します。(画像下側がオプティカル設定)

少し良くなりました。このように、余白を自動できれいに調整してくれます。

少し前のIllustratorではオプティカルしかなかったですが、最近になってメトリクスが追加されました。公式的にはメトリクスが推奨のようですが、メトリクスが効かないフォントに関してはオプティカルを選ぶといいみたいです。

メトリクスとオプティカルの違い

メトリクスは、フォントデータに組み込まれている正しい文字組みに自動で直してくれる機能。オプティカルは、フォントに文字組み情報が入っていない場合にソフト側が判断して自動調整してくれる機能。ということは、綺麗さでいうとフォント推奨のメトリクスの方が上なのですが、全てのフォントにメトリクスが利くわけではないのでご注意を。メトリクスが効かなければオプティカルを使うのがベストです。

トラッキングとカーニングで文字の余白を調整する

自動調整を使うと、思ったよりも文字が詰まってしまうことがよくあります。特に和文の場合は漢字が混ざるので、適度な余白は欲しいところ。そこで、全体の文字間を少し広げるために「トラッキング(カーニングの隣)」を調整します。

トラッキングの数値は、和文なら20〜60くらいで設定すればすっきり読みやすくなります。

画像左がトラッキング0、右がトラッキング60の状態です。右側のほうがゆったりとして粒が見えやすいですね。

トラッキングを広げると、同時に行間が詰まって見えてしまうので、余白のバランスをとる必要があります。例えばトラッキングを40〜60くらいに設定するなら、行間はフォントサイズの2倍くらいは欲しいところ。反対にトラッキングを詰めるなら行間も狭くしてバランスを取ります。

ゆったりと読ませたいものに関しては広めに(ラグジュアル)、一気に読んでほしいものは狭めに(カジュアル)するといいと言われています。デザインによっていい落とし所を見つけてください。

では、カーニングとトラッキングでおおよその文字調整ができたところで、今回のメインである「文字組み、段組み」の設定をしていきたいと思います。

Illustrator(イラストレーター)の禁則処理と文字組み設定について

まずはテキストを流し打ちします。禁則処理と文字組み設定が必要なのは、英数字と日本語が混ざった文章をつくるときです。

画像のように、数字と英語周りの余白が不自然に空いてしまいます。句読的や記号の間にも大きな余白が出来がち。

これは、段落パレットの段落設定のところにある「禁則処理」と「文字組み」の設定によるものなのですが、初期設定の「禁則処理:強い禁則」「文字組み:行末約物半角」は、謎の引力が働きます。
(※約物…記号や句読点のこと)

まず、「強い禁則」というのは「っ()。、」などの記号が文章の先頭に来ないようにする機能で、勝手に行末に引っ張られることで手前に謎の余白が生まれてしまいます。(基本的に記号が文頭にくるのはNG)。

もう一方の「行末約物半角」は、記号や句読点が行末にくると、自動的に余白を詰めて綺麗に整える機能です。どちらも便利な機能なのですが、場合によっては読みにくい文章になってしまいます。

実際に文字組み設定を変えて、見比べてみましょう。

上側が初期設定の「文字組み:行末約物半角」、下が「設定なし」です。文字組み設定をなしにすることで英数字は綺麗に詰まりましたが、今度は句読点が詰まってしまい、うまく行きませんでした。

短い文章ならカーニングで詰めてもいいですが、文章となると数も多くしんどい。そこで、この処理を自動で出来るように「文字組みアキ量設定」をカスタマイズし、オリジナルの設定を作っておくととても便利。

文字組みアキ量設定のカスタマイズ方法

私の希望としては「文中と文末の句読点は全角くらいのスペース」で、「英数字と和文との間は綺麗に余白が詰まる」文字組みになればベストです。これを叶えるために「段落パネル > 文字組み > 文字組みアキ量設定」へ移動して、自分で数値を設定します。

まずは結果から。一番下にある3つ目の文章がオリジナルの設定です。

一番上が「強い禁則/行末約物半角」、真ん中が「強い禁則/なし」。一番下のカスタマイズが読みやすくて綺麗に見えませんか?

3つ目のカスタマイズ数値はこんな感じです。

変更点を書き出しました。

  • 行末設定「読点類と句点類」の最適と最大を50%に変更
  • 行中設定「読点類と句点類」の最適と最大を50%に変更
  • 中点類の前後の最適と最大を25%に変更
  • 欧文の前後「欧文、英数字前後非約物」の最小を0%、最適と最大を12.5%に変更

英数字と和文の余白は一番最後の「欧文の前後」項目で設定できます。50%が全角、25%が半角と思ってもらえばOK。

基本的には「最適」の数値がメインですが、テキストボックスで箱組み(均等配置)にしている場合には、最小から最大の間で調整されるということですね。

それでも文章やフォントによって絶妙に変化するので、完璧とは言えないんですよね。やっぱり文字組みの世界は奥が深いですねぇ。

文字組みに便利なツール

流し打ちしたテキストや、テキストボックス内の文章を改行ごとに分割できるツールが便利です。イラレ非公式の拡張機能(フリー)ですが、私はIllustrator CS3から重宝させていただいております。文章がメインのデザインを作っているとすごく便利なタイミングがあるんですよね。入れておいて損はないと思います。

Illustrator(イラストレーター)の文字を分割するスクリプト「テキストばらしAI」 – freespace

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そしてこれも見逃せない。テキストの改行や余白などを消してくれる変換ツール。クライアントからもらった文章をコピペで作るときなど、一役買います。

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