壁紙を使った壁面デザインが完成しました

2020-01-29
officehojoのお仕事

私がデザイナーのキャリアをスタートさせた場所、100年企業「大商硝子株式会社」さま。20歳に入社し、23歳で離れるまでの間、容器やパッケージデザインのいろはを教えていただいた場所です。10年越しに再びご縁を繋いでいただき、フリーランス活動をスタートしたタイミングでお仕事をいただくようになりました。

大商硝子といえば、業界で初めて「デザイン」を取り入れ、新しい容器のあり方を追求してきた企業です。面接でいただいた美しいデザインのパンフレットは今でも覚えています。容器会社の概念を塗り替える、新しい試みをしている会社だということは若干20歳だった私にも確実に伝わりました。

今回は1917年から2017年までの社史、100年の歩みを壁にデザインさせていただきました。制作期間はおよそ半年。1Fから3Fまでの階段を全面使った大規模な施工となりました。

大商硝子さま、貴重なお仕事を任せていただきありがとうございました。

デザイン〜壁紙施工完成までの道のり

壁面を使って100年の歴史を刻むのは決定事項としてあり、デザインをどのように壁に落とし込むかというところが今回のポイントでした。デザインに制限を持たせたくないと考えたので、壁全面をキャンバスとして使える方法を印刷業者さんと探っていました。

目指したものは、美術館のような展示方法。無垢な白い壁にまるで文字を直接印刷したようなイメージが理想でした。マットな質感と、安っぽくならない凹凸のない素材に、あまり主張しすぎないデザイン。年数が経っても飽きず、毎日見ても煩くならないカラーと文字。史実としても美しく見れるシンプルなデザインというところを一番に意識しました。

最初はカッティングシートで対応しようと考えましたが、文字数や施工の複雑さにより、大きな金額になってしまうことが発覚。そこで、文字数や面積に縛られない壁紙印刷にシフトし、全面を張り替えることでコスト面の調整を図りました。

壁紙の印刷と色合わせ

今回お願いした印刷屋さんは、前職で取引のあった南森町のハロープリントさんです。早い、安い、綺麗とはここのこと。ここで肝となる色を何パターンも出してもらったのですが、こちらの要望である「ガラスっぽい冷たく透明感のある色」を見事に再現してくれました。

出来上がった現物は下の画像のように、青っぽく、赤と黄色も混じり合ったグレーです。ちょっとメタリックな感じがガラスの質感を表現しています。

色合わせをするときにはDICやPANTONEによる色番指定が定番です。IllustratorでDIC(PANTONE)を指定する方法【スウォッチライブラリ】

データ制作にも少しルールがあり、壁紙用のデータを作るときは、貼りあわせの位置を考慮してデザインが少し内側に入るように作る必要があります。横幅900mmなら860mm以内に収めるという具合です。これは壁紙自体が糊を吸収し伸びる性質があるからで、小さくても結果的に900mmに合ってくるということになります。これは初耳。職人技!

壁紙を貼るときの下地処理の重要性

今回、壁紙素材として採用したのは無垢な紙のような素材です。一般的なビニール素材では凹凸が出て安っぽくなったり、小さな文字が出なかったり、デザイン的に不都合だったので上品なマット紙系の壁紙にしました。

しかし、この壁紙が職人さん曰く下地の凹凸を拾うシビアなもので、下地の状態がどこまで許容範囲かで大きく工程が変わるものでした。

そこで、施工の段階で壁紙を剥がしてみたところ、思っていたより状態が悪く、協議の結果、石膏ボードを全面に貼ることになりました。これで工程が大幅に後ろへずれ込むことになりましたが、これは確実に必要な処理でした。

リフォームの二度貼りによるダメージ。石膏ボード決定の瞬間。

比較的大丈夫なところは先に貼っておき、石膏ボードが必要なところは後日ということで壁貼りスタート。下地を新たに作った場所は美しい仕上がりです。

途中筋のようにポコッと浮いていたとしても、時間が経つとまっすぐ伸びてくるのが不思議。

貼りたての浮きの様子

予定より大規模な施工になりましたが、結果的にクオリティも上がり、美しい仕上がりとなりました。皆様、ありがとうございました!

2Fから3Fの様子。デザインに合うよう、エンジ色だった階段の幅木部分も黒に塗装。全体が締まりました。

大商コレクション。商社から技術、デザインへ進化する写真ギャラリー。

余白を残すことで、さらに歴史を追加していくことも可能。上と下を使えば300年分いける、、、?プロジェクターを使った投影もできますね。今後のカスタムが楽しみな空間です。

空間デザインの持つ力

この壁面デザインが出来上がってから、1Fから3Fまで自分の足でゆっくり階段を上ってみました。階段を上ると同時に、まるで大商硝子が進んできた歴史を横で見ている感覚に陥り、文字通り「100年の歩み」を体感できるような空間が出来たことに感動しました。

下を見ると、後ろを振り返ると、過去を振り返る。上を見ると、前を見ると、未来が続く。会社を立ち上げた人、働いた人、離れた人、今もいる人、これから入る人、関わる人、全ての人にとって巡らす思いが変化する素敵な場所です。

今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

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