広告、ポスター、パッケージ、看板(サイン)、、、商業デザインの世界ではキャッチコピーなどを使って言葉を印象的に魅せるデザインが多いです。特に「コピーライトメイン」のデザインレイアウトを組むとき、どのように言葉の文字を印象付けるか、目立たせるのかは重要。
ただ流し打ちするだけでは「何を伝えたいのか」がよくわからない。文字を目立たせるにはどうすればいいのか。今回は「文字(テキスト)のデザイン」の簡単な構造を説明したいと思います。
目次
文字に変化をつけて目立たせる
テキストを目立たせるデザインテクニックはたくさんあります。基本的には、とにかく他の要素と馴染まないこと。同じようなリズムを使えば埋もれてしまうので、目立たせたい場所には意図的に変化をつけます。
文字を大きくして目立たせる
一番簡単なのは、目立たせたい文字や文章を大きくすること。他の要素と大きく差をつけることで勝手に目に入ってくるようになります。
文字を太くして目立たせる
次は、文字の太さを変更すること。目立たせたい文字を太くし、さらにその他の文字を細くすることで、コントラストが強くなり、目立たせたい文字が前面に浮き上がってきます。
文字の色を変えて目立たせる
キーカラーがあるなら、目立たせたい部分に色を入れることで「ここが重要」というアピールになります。目立たせたいところの色を統一すると、一体感も出て非常に綺麗に仕上がります(色を使いすぎると逆に目立たなくなるので注意)。
文字に抑揚をつけて目立たせる
デザイナーがよく使う手法です。文字の大きさを文節ごとに変化させ、抑揚をつけます。サイズや色の変化と合わせて使えば、さらに細かい感情をつけることができます。音の変化と一致させると、まるで広告が喋っているかのような動きを表現できます。(しゃべり言葉で強調するところを目立たせる。漫画のテクニック)
例えば上の画像のように、目立たせたくない文字のトーンを落とすことで、「目立つ要素」と「どれ」に注目がいくようにしています。この文章で伝えたいのは「目立つ要素はどれ?」です。その他の情報は修飾的な要素なので、削っても大丈夫な部分。
広告では「の」「で」「に」などの接続詞を小さくしていることが多いです。逆に、すっと流したいような文章にこのテクニックは使いません。(注意書きや補足情報など)
では、この抑揚の作り方について説明します。
テキストツールで文字を縮小&拡大する【長体と平体】
抑揚をつけるには、テキストツールの文字パレットを使って拡大と縮小をしていきます。
左側のツールバーからテキスト(Tマーク)を選択し、アートボード上でクリック。文字を作ります。
文章は改行で繋げておくこと。テキストをバラバラにしないことで、後の変更処理が一気にできるようになります。
次に、右側にある「文字パレット」で文字の中身を変更していきます。文字パレットがない場合は「メニュー > ウィンドウ > 書式 > 文字」で呼び出します。
小さくしたい文字をドラッグで選択し、文字パレットの赤枠のところで上下に縮小します。今回は75%で揃えました。
左側が縦のサイズ、右側が横のサイズ。この数値を変えることで、絶妙な文字のバランスを整えていきます。
基本的には1:1の正体で合わせるのが基本です(縦横を揃える)が、カタカナの「ー」伸ばし棒のように文が間延びして見える場合には85%〜90%で長体をかけたりします。(長体→縦長の文字/平体→横長の文字)
【文字ツールの便利なショートカット】
- 「option + 上下キー」行間の調整
- 「option + 左右キー」文字間の調整(全体 or 一文字ずつ)
テキストボックスを選択した状態でショートカットキーを使うと、ざっくりと行間と字間の調整ができます。テキストボックスの中にある文字と文字の間にカーソルを入れ「option + 左右キー」を押すと、一文字ずつ間隔をつめることができます。これを覚えておくことで、かなり時短になります。
文字を上下中央に揃える【文字揃え】
次に、文字を揃えます。オプションの「文字揃え」で「欧文ベースライン」を選択します。初期設定では中央合わせになっていると思いますが、自然な形で文字を揃えるなら「欧文ベースライン」がおすすめ。英文も和文も見え方が綺麗です。
この作業を繰り返し、抑揚のある文字組みが完成します。
あとは好みで色を変えたり太さを変えたりします。
文字の使い方:応用を見る
文字を効果的に魅せるには、レイアウトや使い方も大事。街中にあるタイトルが印象的なデザインを見てみましょう。
テクニック的なものはほとんど使ってませんが、フレームきわきわまで拡大したコピーはとても印象的。文字の前に主役が出ているのも引きのポイント。ファッション紙の表紙でよく使うレイヤーテクニックです。
明朝体の文字にオーバーレイをかけ、繊細な透明感を出していますね。雲の白と空の青を一体化させた爽やかなデザインです。
写真のフレームからタイトルを外へ出すことで奥行きが出ています。メイン写真やコピーの邪魔にならず、いいバランスで立っています。テキストボックスを外枠ギリギリまで拡大し、両端揃え(文字パレットの段落タブ)と上下枠揃えにすればIllustratorで再現可能です。
選手の動きに文字を連動させることで、風を感じる動的なデザインになっています。これは描き文字かエフェクトですかね。かすれも入ってます。作り方は色々あるのでここでは省略。文字を風のように見立てることで躍動感が出ています。
これらはほんの一例ですが、電車広告などでもコピーライティングをメインに使用したデザインはたくさんあります。いろんなデザインに目を凝らして見つけてくださいね。
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