Illustrator(イラストレーター)のグラデーションの使い方【初心者向け/基本編】

2020-04-05
デザイン制作

Illustrator(イラストレーター )で基本的なグラデーションを作る方法です。グラデーションの種類や使い方など、イラレのグラデーションについて基本的なことを学んでいきましょう。

グラデーションの種類【グラデーションとグラデーションメッシュの違い】

イラストレーターのグラデーションには、普通の「グラデーション」と、複雑な「グラデーションメッシュ」の2種類があります。いわゆる線形や円形の簡単なグラデーションを作るのは普通のグラデーション。複雑なイラストや立体感を出す場合には、細かい色の設定ができるグラデーションメッシュを使います。

グラデーションメッシュは、オブジェクトにメッシュ状のカラーポイントを作り、複雑な色の重なりを作ります。使いこなせるようになれば、まるで油絵を書いているかのような表現ができる、かなり上級者向けのツールといえます。

グラデーションメッシュ
右側がグラデーションメッシュ

グラデーションメッシュはもはや芸術の域に入るので、まずは基本のグラデーションツールからマスターしていきましょう。

グラデーションツールの使い方【金メダルを作ってみよう】

今までのグラデーションツールには線形と円形の2パターンしかなかったのですが、2020年に「フリーグラデーションツール」という新しい機能が加わり、自由なグラデーションが簡単に作れるようになりました。

基本中の基本である「線形グラデーション」、立体的な球体を作るための「円形グラデーション」、水彩画のような表現ができる「フリーグラデーション」、この3つが今のグラデーションツールです。

この中で一番使う頻度が多いのは、やっぱり「線形グラデーション」。金色に輝くメダルやバッジ、陰影のある背景、円柱などの立体、空間や家具のパースなど、使い方をマスターすれば様々な場所で活躍します。

ということで、今回は線形グラデーションを使って「金メダル」を作り、使い方を解説していきたいと思います。この金銀グラデーションは頻繁に使います。特に商業デザインでは「売り上げNo.1」「人気No.1」などのバッジに多用できるので、一度自分オリジナルの金銀グラデを作っておけば便利です。

1. グラデーション用のオブジェクトを作る

まず、メダルの原型を作ります。オブジェクトツールで正円を作るので、左側のツールバーにある「長方形ツール」を長押しし、出てきた裏パレットで「楕円形ツール」を選択。

アートボードに正円を描きます。Shiftを押しながらドラッグすれば正円になります。同時にOptionを押しながらドラッグすると、中心から円を描けます。サイズはざっくりでOK。

今のカラーモードは「塗り:白」「線:黒」です。色を変更するには、ツールバー下部にある四角いカラーパレットで作業をします。ちなみに選択中のオブジェクトの色もここに表示されています。(左上が塗り、右下が線)

今のグラデーションツールは線にも適応できるようになっていますが、今回は使いません。

ということで、線の色を消します(透明にする)。カラーパレットの線アイコンをクリックし、その右下にある赤の斜線アイコンをクリック。

続いて、塗りの部分にグラデーションの基盤を適応させます。左上の塗りパレットをクリックし、その下の真ん中にあるグラデーションアイコンをクリック(赤斜線の横)。

デフォルトのモノクログラデーションが適応された状態です。今のグラデーションは白と黒の2カラー。マットな状態。

では、これに色を追加し、光を宿します。

グラデーションを編集する【グラデーションパレットの使い方】

グラデーションを作るには、画面右側に出ているグラデーションパレットを使います。もし出てなければ「メニュー > ウィンドウ > グラデーション」で呼び出すことができます。

ざっくりとグラデーションパレットについて説明します。

左上の四角アイコンが今のオブジェクトの色と状態。その横のプルダウンをクリックすると、ベースとなる下地が選べるようになっています。(透過グラデーションなど)

その右側にある「種類」項目は、左から順に「線形グラデーション→円形グラデーション→フリーグラデーション」と並んでいます。今回使うのは一番左の「線形グラデーション」。

その下にある「グラーデーションを編集」ボタンをクリックすれば、オブジェクト側で感覚的にグラデーションを作ることができるようになります。

グラデーションの角度を変える(光の方向)

まず、グラデーションの角度を変え、光の方向を決めましょう。パレットの「グラデーションを編集」ボタンを選択し、画像のようにオブジェクトにグラデーションツールを表示させます。

この状態で、左斜め上から右斜め下へドラッグすれば、角度と距離を変更できます。ドラッグの方向は光(照明)の方向に合わせればいいので、通常は上→下。今回はメダル風なので、よくある斜めグラデーションにしていきます。

グラデーションの色を変更する

次に、色を変更します。オブジェクトにあるグラデーションバーのカラーポイントをダブルクリックするか、グラデーションパレットのカラーバーにあるカラーポイントをダブルクリックします(どちらでもOK)。

カラーパレットが出てくるので、メニューからCMYKパレットを呼び出します(メニューはウィンドウの右上。Webツールを作る人はRGBを選択)。

まず、ベースとなる金色を作ります。上から「C:25 M:35 Y:80 K:0」の数値を入れ、落ち着いた金色を作りましょう。

ちなみにこの後、いくつかカラーポイントを追加していくのですが、いちいち色を作るのは面倒です。時短テクニックを使います。

グラデーションの色を簡単に作る「スウォッチ」

金や銀などの単色のグラデーションでは、同じ色の濃淡を繰り返し使ってキラキラを表現しますが、その度に色を作るのはすごく面倒なので、先にスウォッチに登録しておくと効率的です。まずはベースの色を「スウォッチに追加」し、「特色」に変換させることで色を固定し、濃淡の濁りを防ぎます。

グラデーションのベース色をスウォッチに保存する

スウォッチパレットを使います。画面に表示されていない場合は「メニュー > ウィンドウ > スウォッチ」で呼び出しましょう。先ほど作ったベースの金色を選択すると、スウォッチパレットの左上に現れます。この金色を下のスウォッチライブラリにドラッグで追加登録します。

次に、追加した金色のスウォッチをダブルクリックし、スウォッチオプションを開きます。カラータイプをプロセスから特色に変更し、OKを押します。

左が特色、右がプロセス

画像左のように、濃淡だけを変更できるようになっているはずです。この状態になると、色相が変わらないので濁りがおきません。「特色」について詳しく知りたい方はこちらの記事へどうぞ。

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グラデーションで色を追加する【金属のような光沢】

続いて、左上のカラーポイントにも金色を入れます。スウォッチ一覧にある金色をそのままカラーポイントにドラッグすれば、色が適応されます。

これで一旦ベースが完成。

次に、キラキラ光る色を追加していきます。グラデーションのカラーバーの中をクリックし、色のポイントを追加します。今回は3つ。

画像の通り、カラーポイントが5つに増えました。これを左から順に「濃→淡→濃→淡→濃」と作っていきます。

淡色は大体50%くらいにすると上品な光になります。光を強めたい場合は0に近づけていけばOK。(中に入る文字との差も考慮する)

あとは、色を馴染ませて自然な光にします。カラーポイントをドラッグしながら動かし、微調整。バーの上にある黒いダイヤでも色幅の調整ができます。(ここのセンスが結構重要)

私の場合、リアルさを追求するために左上のカラーは少し薄めに、右下のカラーは少し濃くしてます。(光の道筋通りに作る)

これで金のグラデーションメダルの完成です!お疲れさまでした。

一回作ったグラデーションはスウォッチに保存しておけば、あとで何度でも使い回しができます。

例えばこれをベースに、色を変えて銀色のグラデーションにすることもできますし、メタリックカラーも作れます。アイデアひとつで色んな姿に変身!

グラデーションを透明にする【「色あせた空」を使うと便利】

透明になるグラデーションを作るには、2パターンあります。まず一つ目が、グラデーションパレットのベース選択で「色あせた空」を選び、色を変える方法(一番簡単)。

もう一つは、透明パレットのオプション「不透明マスクを作成」を使う方法。透明にしたいオブジェクトの前面に、同じ形の白黒グラデーションを作り、二つを選択しながら「不透明マスクを作成」を選択。すると黒い部分だけが透過します。※下の画像参照

下の画像のように、後ろの背景に馴染むような透過グラデーションを作りたい場合は、透明ウィンドウで「乗算」をかけます。セロファンのような透き通ったグラデーションができます。(背景の色の影響を受けるので、色の組み合わせに気をつけて)

グラデーション文字を作る【テキストをアウトライン化】

文字にグラデーションをかける場合、先に文字をアウトライン化し、オブジェクトにしてからでないとグラデーションが使えません。文字を選択してからCommand + Shift + Oを押し、アウトライン化します。あとは通常通りグラデーションを使っていけばOKなのですが、テキストはグループ化されているので、最初は一文字ずつグラデーションがかかります。全部の文字にグラデーションをかけたい場合は文字を全選択し、グラデーションを一定方向へドラッグします。

線やブラシにグラデーションをかけたい場合も同じくアウトライン化してから。アウトライン化の方法はこちらでどうぞ。

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グラデーションをランダムに作る「フリーグラデーション」ツール【Illustrator2020】

フリーグラデーションサンプル2

グラデーションに慣れてきたら、もう少しランダムな色の変化を作れるフリーグラデーションツールも使ってみましょう。水彩画のような滲みを表現したり、自由な色の表現ができるようになります。グラデーションメッシュよりも簡単に使えるので、初心者でも臆することなく複雑なグラデーションが楽しめます。フリーグラデーションツールの使い方や色の作り方は下記の記事中盤あたりで取り上げています。上の画像のように、写真と同じような風景画も作ることができました。

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