Illustrator(イラストレーター)で3Dの立体や変形オブジェクトを作るときに便利な機能「ブレンドツール」。ブレンドツールを使えば、陰影を使って立体的なオブジェクトを簡単に作ることができます。グラデーションでは再現できないリアルなボトルの作り方などを紹介したいと思います。
目次
ブレンドツールの使い方と機能
ブレンドツールの基本的な機能は「混ぜる(ブレンドする)」こと。ブレンドの活用方法は2つあり、一つは「色をグラデーションのように馴染ませること」と、もう一つは「オブジェクトを段階的に変形させること」です。
ブレンドツールのスムージングを使えば、色と形が混ざり合うグラデーションが作れます。(画像参照)
ブレンドツールのステップ数(サンプルでは3)を指定すれば、形を段階的に変形させることができます。(画像参照)
このように、ブレンドツールを使えばグラデーションツールでは作るのが難しいリアルな立体オブジェクトが作れたり、手書きで作るには面倒な変形オブジェクトを簡単に作ることができるようになります。
今回はデモとして、某お洒落雑貨ショップのボトルをIllustratorのブレンドツールを使って作りたいと思います。
ブレンドツールで立体的なボトルを作る
まずは作りたいボトルの画像を用意します。今回は「Today’s Special」さんのMY BOTTLE風ボトルを作りたいと思います。制作はご覧のように、4つのステップで簡単にできてしまいます。
1.ボトルのアウトラインをパスでトレースする
まずは、アートボードにサンプル画像を配置し、レイヤーにロックをかけておきます。これで作業中に画像が動くのを防ぐことができます。
ボトルの中心にセンターガイドを引きます。「Command + R」で定規が現れるので、そこからドラッグでガイドを引っ張ります。この中心部分から半分の左側だけトレースしていきます。
次に、ブレンドボトル用の新規レイヤーを追加します。
ツールバーから「ペンツール」を選択し、ボトルのアウトラインをパスでトレースしていきます。カーブのところはドラッグで曲線をつくり、直線部分はShiftを押しながらドラッグすると綺麗な線が作れます。
半分だけトレースしたら、反転して複製します。
2.パスを反転し、連結する(リフレクトとアンカーポイントの連結)
トレースしたパスを、リフレクトツールで右側に反転します。パスを選択した状態で、ツールバーのリフレクトツールを選択し、Optionを押しながらアンカーポイント部分をクリックします。
リフレクトの軸は「垂直」にチェックを入れ、コピーを選択。これで左右にボトルのアウトラインができました。
続いて、離れた二つのパスを連結させます。ダイレクト選択ツールで、左右の連結部分のアンカーポイント(点)を2つ選択し、「Command + J(ジョイント)」で連結します。これを上下2回繰り返せば、ボトルのアウトラインの完成です。
補足:ダイレクト選択ツールと結合について
ダイレクト選択ツールは、パスのポイントをダイレクトに選択できるツールです。アンカーポイントとは、パスのアンカー(最終点)のこと。2つのアンカーポイントをつなぐ時は、必ず1回ずつ行うこと。2つ以上のアンカーポイントを選択しても、結合はできません。
補足:いろんな結合方法(パスの合体)
アンカーポイントの連結以外にも、オブジェクトやパスを合体させる方法はいくつかあります。その代表が「パスファインダー」の「パスの合体」です。パスの合体は、塗りのオブジェクトが重なっている場合にしか適応できませんが、アンカーポイント同士を交差させ、パスを塗りに変えることで合体が使えるようになります。(パスファインダーの使い方についてはこちら)
3.拡大縮小ツールでオブジェクトを内側に複製する
繋がったパスを塗りに変え、線を消しておきます。色はグレー(K40%くらい)にしておきましょう。
次に、拡大縮小ツールを使って、内側に縮小したボトルを2つ作ります。拡大縮小ツールを選択した状態でボトルを選択。「Option」と「Shift」を押しながら、内側にドラッグして細いボトルを複製していきます。
こんな感じです。
複製した内側のボトルは、少しだけ底上げしておきます。ボトルの底は肉厚なので、外側のグレーを残した方がよりリアルにボトルっぽくなります(影を作る)。色は中心に向かって白くなるようにすると、ボトルの丸みが出ます。
ガラスボトルの場合は、外側のグレーを濃くするとさらに陰影が強くなり、リアルに仕上がります。
4.ブレンドする
初めにツールバーの「ブレンド」をダブルクリックし、設定を「スムーズカラー」にしておきます。
(「ステップ数」を指定するとブレンドの色数を指定できます。)
ブレンドしたいオブジェクトを選択し(ボトル3つ)、「command + option + B」で一気にブレンドします。(メニュー「オブジェクト > ブレンド > 作成」)。
これでボトルの完成です。
同じようにキャップも作れば、ボトルとキャップの完成です!ボトルにデザインを入れると、見たことあるボトルに変身。こんな感じでモックアップとしても使えます。
背景素材がある場合は、ボトルを選択し、透明フィルターの「乗算」をかければいい感じに背景となじみますよ。
また、ブレンドの変形を利用すれば、サイズ違いのボトルも一瞬で作れます。
こんな感じで、小さいサイズのボトルを一つ複製しておきます。
ブレンドの設定を「ステップ数 3」にしておき、二つのボトルを選択した状態でブレンドします。
間にサイズ違いのボトルが3つできました。形によってはうまくいかない時もありますが、結構使える場面が多いです。
グラデーションともオフセットとも違う「ブレンド」。この機会にご活用ください。
モックアップを使ってリアルなパッケージデザインを作る
もっとリアルなボトルや仕上がりイメージを作りたい!という方には、モックアップの利用をお勧めします。モックアップとは、Photoshopで簡単に仕上がりイメージが作れるデータです。モックアップについての詳しい説明はこちらでどうぞ。
モックアップについて何となく理解できたら、こちらで紹介しているフリーモックアップ素材サイトで自分が使いたいモックアップを探しましょう!
Adobe Dimensionを使ってリアルなボトルを作る
モックアップを簡単に作る最適のアプリは「Adobe Dimension」です。3Dモデリング制作のソフトですが、素材さえ見つかれば、ものの数分でモックアップが完成してしまいます。Dimensionを使って立体ロゴを作った記事があるので、興味のある方はチェックしてみてください。